永遠の悪を愛でて

現実の人間は醜い。僕を含めて。善良で、理性的で、期待に応えなければならないのに、悪辣で、本能に負け、堕性を貪る。けど創られた世界の中でなら、そんな悪徳も魅力になる。僕はとびきり横暴で傲慢で暴力的な『彼女』が好きだ。『彼女』は現実の世界で咎められることもなく、僕の期待とも無関係に、我儘に自由に生きる。それがたまらなく美しい。それを生み出したのは、僕と同じ人間。でも、画面の中にいるこの瞬間の『彼女』は、永遠だ。創造者の行いに左右されることはない。人間に失望することももうない。はじめから信じていないのだから。

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