絵画よりも
芸術鑑賞会のあと、美術館を回った感想を課題で書かされた。明日隣の人と読み合うらしい。自分の気持ちなんて、自分がわかっていればいい。そんなことしなくていいのに。そう思いながらも、なるべく大きな字で書いた。
翌日、渋々隣人と交換した。彼が渡してきたのは、感想というより手紙だった。語りかけるように、美術館での私の様子と共に絵の感想が綴られている。びっしりと。恥ずかしいやら呆れるやら感心するやら。
読み終えたと思ったが、裏返すよう促された。彼はなんだかそわそわしていた気がする。感想という名の手紙が続いていた。「そんな風に自分の世界を持っていて、綺麗なものに夢中になれる貴方のことが好きです」
そんなことってある?弾かれるように顔を上げると、彼も真剣な眼差しでこちらを見ていた。
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