大人の味

キャラメルを食べた。口にするのは子どもの時以来だ。もっと魔法のように魅力的で、蠱惑的に甘い秘密めいた菓子だった気がするのに、今口内を満たしているのは、歯にぬったりと纏わりつくただの砂糖の塊に思えた。飲み込んでも後に残る甘さを、コーヒーの酸味と苦味で流し込んだ。芳ばしさが甘さに取って代わり、平穏が戻った。


2020/03/02

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