第7話:帰り道




 彼女を落札できなかった成金風の男は、何やら店側と揉めていたようだが、それも落ち着き、僕は店の従業員から渡された番号入りの球体を持って、奴隷の引渡し部屋へと足を運んでいた。


「…………」


 無言でその後をついて来るユイリに、若干薄ら寒いものを感じてはいるが、今は気にしていても始まらない。球体に描かれている部屋の前までくると、中から「どうぞお入りください」と声が掛かる。


「ようこそお出で下さいました。この度は当店の競売にご参加頂き、有難う御座います。わたくしはこの店のオーナーで、ハロルドダックと申します。どうぞお見知りおきを……」

「……どうも」


 まさかオーナー自らが対応してくるとは思わなかったけど……、僕はこの店にとって最高入札価格で……それも星銀貨で落札した上客。そのように思われていても不思議はないかもしれない。


 部屋の中には店のオーナーの他に、先程落札したエルフの美女も控えていた。マントのような外套を着せられているものの、先程と同じく未だ猿轡を噛まされ、両手は後ろ手にまわされて手錠を掛けられているようだった。


 ……まぁ、店にとって引き渡し前に自殺でも図られたら堪らないという事なのだろう。あと、先程と違うところといえば……、首元に先程は見られなかった首輪を着けているといったところだろうか……。


「まずは此方の商品を星銀貨で落札頂きました金額の5%は、規定の通りお客様へ返却させて頂きます」


 そう言ってオーナーは僕にお盆に大金貨を60枚ほどと金貨をいくつか載せて渡してきた。


 ……そう言えば、次点落札者は落札できなくとも手数料の他に入札金額の10%を納めなければならないかわりに、落札者に関しては落札価格の5%を返金すると書いてあったかな。


 でも、5%にしては大金貨の量が少し多い気がするけど……。


「……お客様には今後とも御贔屓にして頂きたく、少し色を付けさせて頂きました。また、次点落札者の入札金額の10%の内、一部は債務奴隷である彼女にいきますが、この金額に関しましては規約の下、主人であるお客様が没収なさる事は出来ませんので、どうかご了承の程を……。最も、流石に今回は落札金額から考えても返済できるものではないとは思いますが……」


 ……そういえば彼女は債務奴隷として出品されていたのか。オークショニアの説明は彼女の容姿や技能の説明だけが印象に残っていて、聞き逃していたのかもしれないけど……。


 まぁ、あまり僕にとっては関係ない事だろう。まぁ、ユイリの説明からも彼女達エルフは、全員戦犯奴隷でなく、債務奴隷として出品されていたと言っていたしね……。


「ああ……、特に問題はないよ。ご配慮、痛み入る」

「では、これより奴隷契約を執り行いますが……、その前にお客様の血を一滴でかまいませんので、このトレーに零して頂けますか」


 恐れく契約に必要な行為という事なのだろう。僕はトレーの上に置いてあった針を手に取ると、指先に押し当て、血を一滴零す。


 オーナーはそれを受け取ると何やら呪文のようなものを詠唱し始めた。するとトレーに零した血が滲み始め、紋様にその姿を変えると、彼女の首輪に向かって吸い込まれていく……。


 彼女はそれを見る事無く、ただ悲しそうに瞳を閉じたままだった。


「……これで無事、奴隷契約は終わりました。その契約の首輪を身に着けさせている限り、彼女は貴方に従い、命じた事にも逆らいません。自殺等の心配もありませんので、もう猿轡や拘束を解いても大丈夫です」


 そう言って、彼女の手錠などの鍵を手渡してくる。僕はそれを受け取ると、すぐに彼女の猿轡を外し、手錠の拘束も解き放つ。


 猿轡を外した際、ンッ……と少し悩ましげな声をあげるが、首輪の効力が利いているのか、彼女の様子に変わった点はなさそうだった。


 間近で見る彼女は先程と同じく、何処か諦めたような表情をしており、その様子にユイリも見ていられないとばかりに目を逸らしていた。


「じゃあ取り合えず、宿に戻ろう。君も一緒について来て」

「……かしこまりました」


 消え入りそうな、しかし澄んだ声で僕に従う彼女。折角だし肩を抱き寄せていきたいところだけど……不要に怖がらせる事はないし、ユイリの存在もある。ついて来る様子を確認し、僕達は部屋を出ようと入り口に向かう。


「またのお越しをお待ちしております」


 店のオーナーの言葉を最後に、エルフの彼女を連れて、ユイリと共に会場を後にした。






 宿へと帰路につく最中、皆一様に一言も喋る事がなかった。


「…………」

「…………」

(き、気まずい……。なんの罰ゲームだ、これ……)


 ただ只無言が続くのは苦痛以外の何物でもない……。しかし、そうなった原因を考えると至極当然であるともいえる。奴隷契約を結ばされた彼女が主人である僕に断りもなく話す事はないだろうし、ユイリも同じく怒らせて以降ずっとこの調子であるからだ。


(まぁ、当然だよな……)


 自分に対し嫌悪感を抱いたのは間違いないだろう。自業自得でもあるから仕方ないけれど……。


(それでもついて来るのは……、やっぱり任務ゆえ、なんだろうな……)


 そうひとりごちて溜息をつくと、気を取り直して宿に向かう事にする。しかしその時、ふと違和感を覚える。

 

(…………誰か、いや複数か?僕達をつけてきている……?)


 時間ももう真夜中、人通りが無くなった通りに出た時、今まで隠れていた鎧を身に着けた戦士風の男達数人が姿を現してきた。


「運が悪かったな……、坊主。お前に恨みはねえが……、ここで死んでもらうぜ」

「そこの女は、俺たちが有効利用してやるから、安心して眠って貰っていいんだぜぇ」

「もう1人もいい女じゃねえか……。コイツは俺たちで愉しませて貰おうか、キヒヒッ」


 何が可笑しいのか知らないが、下卑た笑いを上げる戦士くずれ達を、僕は冷めた目で見る。


(何処の世界も屑は屑、か。さて……どうしたものかな……)


 一度、この世界でどれ程動けるのか、試してみたかった事もある。


(ざっと見て、10人程か……。向こうは僕を殺す気満々だけど油断しているみたいだし、何故か脅威も感じないから試してみてもいいけど……、どれだけ通用するかは正直未知数なんだよな……)


 普通に考えれば、重力が弱いこのファーレルでは、地球の重力で慣れている僕の攻撃は十分に通じると思ってはいる。だけど、能力スキル等の存在が気になっていた。その能力スキル自体でいくらでもそんな些細なアドバンテージを消し飛ばしてしまうかもしれない。


 それに、自分のステータスの力が確か「46」。相手が仮にそれ以上の身の守りを持っていればダメージは与えられない計算にもなる……。そして、そもそもの話……、


(……いくら向こうが僕を殺す気だったとしても、僕が相手を殺しちゃうわけにはいかないし……)


 自分が元の世界に戻る事が前提だとすれば、万が一、人を殺してしまったらもう「普通の人」では済まなくなってしまうだろう。


 こうなれば三十六計逃げるに如かずという古語の通り、それが最善とも思えるが、こちらには奴隷契約を結んだ彼女がいる為、自分1人ならまだしも逃げ切れるかわかったもんじゃない。


 最も、こんなところで死ぬ訳にはいかないし、自分が死ぬくらいなら相手を返り討ちにする気で戦うしかないかと腹を括ったその時、ユイリがすっと音も無く自分の前に割り込んできた。


「全く……、こんな時に襲ってくるなんて、間の悪い連中ね……」


 僕の前に庇うように立つユイリの両の手には、何処から取り出したのか、刃渡りニ尺程の、恐らく小太刀と呼ばれる忍刀を携えていた。


「忠告するわ……、彼を襲おうとするなら、命の保障はしないわよ?」

「なんだあ!?姉ちゃん、死にたくなかったら大人しくしてろよ……!」


 そんな彼女を押しのけようとして、戦士崩れの1人が手を伸ばす。しかし次の瞬間……、


「…………は?」


 その伸ばした戦士の手――その手首から先が綺麗に無くなっていた。


「はぁぁぁぁっ!?お、俺の、手がぁ!!?」

「お、おい!?く、くそっ、一体何をしやがった!?」

「こ……このアマッ!!」


 一瞬遅れて、切断された先から大量の血が噴出し、地面に崩れ落ちる仲間の様子に混乱しながら、残りの者達がユイリを取り囲むように構える。


「忠告はしたでしょ?……今日の私は機嫌が悪いの。死にたいのなら……かかって来なさい?」

「グッ……、こ、こいつ……!」


 人数差も気にする事なく佇んでいるユイリに動揺している連中を見て、内心僕は自分の考えが正しかった事を悟る。


(ユイリの動き……全然、見えなかったな)


 王様より信頼も厚いようだったし、実力者なんだろうとは感じていたけれど、まさかこれほどまでとは思わなかった。


 恐らく手元の小太刀で音も無く相手の手を切断してしまったのだろうが、まるで手品のように一瞬で手が消えてしまったのを見て、現実にそんな光景を目にする事になるなんてと、正直いって畏怖してしまっていた。


「ぜ、全員でかかるぞっ!!やばそうな奴はあの女1人なんだ!皆でかかれば……っ!」

「……残念だけど、そうは言ってられないみたいよ?」

「な……何!?」


 ユイリの言葉を受け、ふとそちらを見てみると……、


「おや……、もしやお呼びではあらしまへんかったかい……?」

「お……お前達は……っ!」


 この緊張した場には似合わない間の抜けたような声で、僕をあの会場へと誘った闇商人がゆっくりと話しかけてきた。その闇商人の後ろには黒い鎧を着込んだ戦士達が複数人待機しており、彼に従っている私兵のように見受けられる。


「……戻ってあんさんらの雇い主にゆうときなはれ……、『それは流石にルール違反やあらしまへんか?』っとな……」

「な、なんだと!?それは、俺達の邪魔をするっていう事か!?」


 背の低いドワーフ種族、ユイリによるとハーフリングと呼ばれるようだが、話の流れをみると彼らは敵ではないようだった。逆に、僕達を襲ってきた戦士崩れの男達は慌てた様子で闇商人を問い詰める。


「邪魔、というんやな。兄さん助ける事が邪魔いうんやったら……、そういう事になるさかいな」

「い……いいのか!?お前達店側の人間にとって、俺たちの主人を怒らせる事は……っ!」


 主人……か、という事はコイツ等はその主人とやらに雇われているだけで……。僕を殺そうとした黒幕はその雇い主という事か……。


 雇い主というからにはそれなりの権力者なのだろうし、この世界に来てまだ1日も経っていないのに命を狙われるなんてとも思ったが、傍に居たエルフの彼女をみて納得する。


(そういう事か……、となるとコイツ等の雇い主は大方、あの成金みたいなあの男かな……?)


 落札できずに逆恨みを買ってしまったか……、そういえば店側の人間と揉めていた時もこちらを睨みつけるように見ていたな……。うん、あの男でまず、間違い無さそうだ。僕の推察を裏付けるように闇商人が、


「確かにあんさんらの主人は我々にとっても上客や……、せやけど、別に上客の1人いうだけで、それ以上でも以下でもあらへん。他の上客に、それもあんさんら以上に上客になりそうな、そこの兄さんを潰そういうんなら……、こちらとしても見過ごせん話いうことや……!」

「グッ……こ、この……!」


 バッサリと闇商人に跳ね除けられ、言葉に詰まる襲撃者達。思い通りにならない事に歯痒そうな様子の彼等に、よほど今まで成金の男の権力を傘にきて好き放題やってきた事が伺えた。


「さぁ、そこの倒れとるのも連れてお引取りなされ。はよう適切に対処せんと死ぬで、そいつ。……それともなんや、ワテらと一戦やらかそうっちゅう事かい?」


 その言葉と同時に控えていた黒い鎧の男達は臨戦体勢をとる。その様子を見ていた襲撃者達は、


「クソッ、覚えてろ!!」


 いかにもな捨て台詞を残し、1人、また1人と蜘蛛の子を散らすように逃げて去っていく。誰も負傷した男も、自分に目もくれずに逃げ出した仲間を、痛みに耐えながら追いかけていく様子は哀愁を感じたが……。


「……助けてもらったようだね、ありがとう」


 戦闘態勢を解き、こちらに歩いてくる闇商人に礼を言う。


「いやいや、これも高額落札者へのアフターサービスいうもんや。……最も、必要なかったやろうけどな」


 そう言ってユイリの方を見る闇商人。彼女はというと、持っていた小太刀もどこに仕舞ったのか、何食わぬ顔をしてこちらの方に戻ってきていた。僕と目が合うと、すぐにそっぽを向かれてしまったけれど……。僕は苦笑しつつも気を取り直して、


「そんな事ありませんよ、でもどうしてここに?アフターサービスなんて言ってたけど……」

「その言葉どおりの意味やがな。ハロルドダック……、ああ、さっきの店のオーナーやが、奴に頼まれてここまでやってきたっちゅう訳や。もう想像ついとるかもしれへんが、兄さんに競り負けて次点になったもんが、なんや怪しい動きしてるいうてたさかい……。前にも揉めたり今回みたいんに騒動起こしおったから、念の為に護衛についとったんやが……。兄さんも災難やったな」


 やっぱりそうだったのか。どおりで周りの人達もあの人には近付かなかった訳だよ……。


「それにしても……、やっぱりワテの目に狂いはなかったようやな。まさか星銀貨持っとるとは、しかもあないにして使うてくるとは思わんかったが……。まぁ、ええ買いもんやったとは思うで?その嬢ちゃんみたいな上物は、もうお目にかかる事もないさかい……」

「それはどうも……。ああ、そうだ、これは助けてもらったお礼だから受け取ってくれないか」


 僕は懐から、店のオーナーから返金された大金貨を取り出し、黒い鎧を着込んだ護衛たち7人に一枚ずつ大金貨を渡し、それを纏めている闇商人にも3枚ほどを握らせる。護衛たちは受け取っていいものかと闇商人の方を伺っている事に気付いたのか、


「……兄さん、これは一体どういう事や?仮に謝礼言うても、この額は多すぎる。お偉さんの護衛ついても、せいぜい羽振りがよくて金貨1枚貰えるかどうかが関の山や。それも、ワテの私兵にも1枚ずつ握らせるなど……何を考えてるん?」

「それは、あくまで貴方達の基準でしょ?多分これから僕の事を調べたらわかると思うけど、僕がいたところでは、これは助けてもらったら御礼をするのは普通の事だったんだ。それに、渡せるものが大金貨だけだったから、多い少ない言われても困るし……、流石に命は金では買えないだろう?だから遠慮なく受け取って欲しいな」


 僕の考えを聞き、闇商人は部下達に貰っとき、と告げると彼等は歓喜して礼を言ってきた。そして、その様子を見ていた闇商人は僕の近くにやってくると、


「それで?兄さんは何を考えてるんや?お礼ちゅうんは解った。でも、これだけやないやろ?わざわざ部下にまで金をバラ撒いて、何かあるんやろ?」

「……正直、それ以上の事は考えてないんだけどな……。それは、本当にお礼のつもりで渡したもの。後で返せというつもりもないし、仮に僕が死んでいたらアイツらに奪われていたものだしね。それで納得できないっていうんなら、ひとつ教えて欲しい事がある」


 そう言うと、闇商人の顔が訝しむものから探るようなものに変わる。


「……何を教えて欲しいんや?」

「今回、数多くのエルフ、それも女性ばかり出品されていたね。ユイリも疑問に思っていたけど、今回のエルフの王国の滅亡と何か関係があるのかな?」

「それは、随分と核心をつく質問やな。しかし、残念やがそれについては答えられん。ワテもこの通り商人、それも闇商人や。情報は命より大事なもんもあるし、その情報源も決して明かすわけにはいかん。兄さんの質問はワテらにとっては最重要な機密事項。悪いが諦めてくれへんか」


 闇商人の返答を聞き、僕は確信する。今回のエルフの王国の滅亡には、闇商人たちにとっても、どの程度かはわからないが、関わりがあったという事を……。それを、目の前の闇商人は間接的に教えてくれたという事実に、


「そうなんだ。別にいいよ、僕としてはちょっと気になったというだけだしね。それに……、話してくれてありがとう。じゃあ、僕達はそろそろ行くよ」


 僕の言葉を聞き、闇商人の部下達も、自分に対して再びお礼を言ってくる事に応えながら、2人を伴い宿に戻ろうとした際に、


「……そう言うたら、少し前に近くの森を手入れして欲しいっちゅう依頼があったのう。兄さんは、そういった仕事に興味はあらしませんか?」


 宿に戻ろうとした僕に、そう投げ掛けてくる闇商人。森の、手入れ……。エルフの王国は森の中にあったと聞くし、これはもしかして……。


「そうだね……。正直、僕も出来そうな仕事を探していかないといけないと思っていてさ。……でも、裏の仕事とかではないよね?」

「別に闇商人の紹介する仕事が裏のモノだけっちゅう事ではないんや……。まぁ、そう思ってくれへん輩も多くおるしかまへんけど……、これはそういう話やあらへん。兄さんにはわかると思おけどな。……ほな、後でどんな仕事か書かれたもんを兄さんの泊まっとる宿に送っとくわ。よろしゅう検討してーな」


 振り返った僕に彼はスッと近付き、何かを渡してくる。さっき貰ったカードと似ているみたいだけど……、


「これは、ワテの個別商証ライセンスカードや。大事な商売相手になる思おたら相手に渡すもんやな……。兄さんとは長い付き合いになるかもしれんから……渡しとくで」


 要するに名刺のようなものかな?そう思って受け取ると、背後から「また……受け取っちゃって……」という声がする。……誰が呟いた言葉かは言うまでもない。

 苦笑しつつ個人証プライベートカードを見てみると、書かれている文字がすぐさま自分の解る単語へと変換されていく。これが、『翻訳のイヤリング』の効力なのだろう。闇商人ニック……、それが彼の名前のようだ。


「さて……、引き止めて悪かったの。まぁ、今日のところは兄さんも『おたのしみ』があるやろし、帰ってゆっくり愉しんでや」

「ああ、その事だけれど……」


 僕の背中を軽く叩きながら、からかうような調子でそんな事を言って離れようとするニックに、僕は小声でボソッと耳打ちする。


「……ホンマか?ホンマにする言うんなら……兄さんはバカやで?一体、何の得があってそんな事をするんや?」


 僕の言った内容が、彼にとっては考えられない事だったのか、そんな事を言ってくるニックに、


「僕は今、あまり損得で動いている訳じゃないんだ。究極的な目的はあるけれど、取り合えず自分のやるべき事はやっておきたい。勿論、僕が話した事は、その目的の一助になると信じている。それともどうする?バカとは付き合えないって言うんなら、これ、返すけど……」


 そう言って先程、彼が渡してきた個別商証ライセンスカードを返そうとすると、


「それはええ。……まぁ、ホンマかどうかは、次に会った時に確かめさせて貰うわ。渡したそれにも書かれとるけど、一応させて貰うで……。ワテはニック、闇商人のニックや……。覚えておいて貰いまひょか」


 ニックはそう言うと、護衛の兵士達を連れて戻っていく。それを見届けてから、僕も2人を促しその場をあとにした……。

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