世界的パンデミックで厳しい状況に追い込まれた熊本の繁華街、下通。その中でテイクアウト商品を扱うようになったお店を巡り、味わいをお家から食レポする!
こちらのエッセイ、とにかく愛があるのですよ。熊本愛、店愛、酒愛、肴愛。匂い立つどころか噴き上げる勢いで。
そしてまた筆の味わいが深い! 買い求めてきた肴たちを口に入れてからの描写がとにかく濃やかで深いのです。ある話では料理の素材の味についてを突き詰めて思い、またある話では、肴をきっかけに回想へ浸り込む。ですので展開自体は各話様々なのですが、締めはもれなく叙情的で、これがまたまたいいのですよ。読み物として見れば読後感の演出として効いていますし、酒好きのレポとして見れば、ほろりと香る酒の余韻を感じられて。
まさに今こんなときだからこそ、酒気に乗せて綴った手記。みなさまにもお家で、著者さんの意気と愛を感じていただきたく思います!
(「こんなときだからこそ笑いと元気!」4選/文=髙橋 剛)