第39話 羽根(5)
「Vohim Gizyax Od Matb Cocasg Plosi Molvi・・・ Ds Page Ip Larag Om Droln Motorb Cocasb Emna L Patrax Yolci Matb Nomig Monons Olora Gnay Angelard・・・ Ohio Ohio Ohio Ohio Ohio Ohio ・・・Noib Ohio 」
その状況を後ろにいるバーンは感じとっていた。
彼女が本気で彼から離れたいと願っていることを精霊たちが伝えてくれた。
この状態ならば宿業の結びつきを彼の『力』で断ち切ることができる。
すべてを白紙に戻す。
今までの彼らの関わりも、起こったこともすべて、今、断とうとしていた。
立ってできる影すら消してしまうほどのまぶしい光が降り注いでいた。
目の前でのたうち回る影から闇色が抜けていった。
徐々に灰色、白色に近づいていった。
色が薄くなっていくのと同時に苦しみ方も変わっていった。
手足の動きが次第に緩慢になっていったのだ。
そして最後には抵抗しなくなった。
両手をだらりと下げ、顔は上空を見つめていた。
光の中心を。
「統……」
綿毛のような光の粒が音もなく降り注ぎ、彼を覆っていった。
そして、
「Caosgon Bagle Madrid I Zir Od Chiso Drilpa Niiso CripIp Nidail.」
バーンの呪文と同時に彼がはじけ散った。
破裂音は何も響かなかった。
ただあとには、真っ白な天使の羽根が山のように残っていた。
上空に向けて吹き上がっていた炎と風が勢いを無くし、弱まりながら巻き込みながらその羽根を建物中に吹き散らした。
タンポポの綿毛が風に運ばれていくように建物内を何回か回り、吹き上げられながら、跡形もなく消えていった。
すとん・・・
右肘を押さえたまま、放心状態でその場に座り込んでしまった。
榊が気づくとそこには光も羽根も炎もなく、薄暗がりのなかに油臭い機械がたくさんある工場内に戻っていた。
何度かまばたきを繰り返しながら、彼がいたと思っていた場所をまじまじと見てみた。
地面に倒れ込んでいる数人の男達がいた。
さきほど鳳龍に倒された犯人達だった。
(夢!?)
無言でバーンが近づいてきた。
「…………」
臣人も流れる汗を拭うこともなくようやく真言を唱えるのをやめ、黙って二人を見守った。
「……終わったよ……」
「オッド先生?今、」
信じられない顔で見上げていた。
そんな彼女の言いたいことがわかっているのか開口一番こう言った。
「夢なんかじゃない…」
「え?」
「彼は確かに…ここにいた…」
座り込んでいた彼女の前にバーンも膝を付いた。
「でも、
そういいながら白い羽根をひとつ、彼女に差し出した。
「その羽根の色と同じ…気持ちになって…」
真っ白な羽根。
天使の羽根のように白い。
確かに彼がここにいたという証。
それを見た途端、榊の目から涙が溢れた。
バーンの手からその羽根を受け取ると両手でそっと包み込んだ。
大事そうに抱えると自分の口元まで持ってきた。
「ありがとう…」
震える声で一言だけつぶやき、泣き崩れた。
バーンも臣人もそんな彼女の姿をただ見守るしかなかった。
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