第7話 高冬真友と信頼の獲得②
〜高冬真友〜
新島愛希と名乗った女の子は、金髪で身長165センチくらいのギャル系だ。
もちろん俺よりでかいので圧がすごい。
とゆうか、めちゃ怒ってるし!
恵美ちゃんの友達?これだけ怒ってるんだから、親友レベルか?
いや、それよりも。
「ご、ごめん。新島さん。確かに恵美ちゃんを困らせてるのは俺だよ。でも、このままにするつもりはないんだ!なんとか許してもらおうと行動してる際中でさ!」
と、真剣に謝る。
すると新島さんは身体を俺から離す。
「あっそ。自覚はあるんだ。ただのゴミ野郎ではないみたい。だったらさっさと行け。恵美が許すまではウチもお前を許さないから」
と、さっさと行けと手で示す新島さん。
「了解デス。友達想いの新島さんのためにも速攻行ってくるよ!」
そう言って槍彦の部屋へ駆け出す俺。
「おい!どこ行くんだ!恵美の部屋はそっちじゃないだろ!」
ヤッベ!新島さんに怒鳴られた!
「あ、いやあ、これこれ!槍彦がスマホを落としてたから届けに行くんだ!スマホは大事だからさ!」
スマホを届けるのは本当だ。おまけだけどね!
「あっそ」
納得してくれたみたい。
俺は次こそ槍彦の部屋へ向かう。
「おーい。槍彦ー。開けるぞー」
槍彦の部屋へ着くと同時にドアをノックする。
返事がない。
なんだ?取り込み中か?
いや、俺を無視してる可能性があるな。
「よーし。居るのに無視してるなら、5秒後に勝手に開けるぞー。5、4、3、2、1、はーい!ドーン!」
5秒数えてドアに手を掛ける俺。
もちろん開けてはないぞ。
うん。ここまでしていないのは本当にいないな。
そんなことを考えてると。
「おい!お前そこで何してんだよ!」
槍彦くんがすごい形相で帰ってきました。
これは勘違いされてますね。
「おー槍彦!待ってたぞ!ちゃんと開けないで!」
「信じられるかよ!ほら見ろ!ここ!指紋ついてるぞ!」
は?指紋?
「いやいや槍彦くん!指紋なんてつきまくってるに決まってるじゃないか!その証拠は弱いんじゃないですかー?」
挑発する俺に対して槍彦は……。
「いや、誰かが入ってないかを確認するために、指紋が見えやすい素材に変えてるし、毎回ここ出るときにアルコールタオルで拭いてるから確定。お前入った。ふざけんな!ゴミが!勝手に入るとか本当ゴミ!最低だ本当に!」
「どんだけ部屋に入られたくないんだよ!用心深すぎでしょういくらなんでも!そこまでされたら逆に入りたくなるわ!」
こいつまじかよ!そこまでしてたのか!流石に想定外すぎる!
てか最悪だ!
ここまでされてたら、マジで触っただけと言ったところで信じてもらえねぇ!
どうするか?
とりあえず、開けてしまったことにするしかないな。
「……。確かに開けたが、中に人がいるかを確認出来るくらいしか開けてない。だから部屋に何があるかは見えてない!だから……。お前がそこまでして隠したいモノはなんなのかを俺に教えてくれぇ!男同士の秘密の共有だぁ!もちろん俺のも教えるから!」
「本当に部屋のモノは見てないのか?」
あくまで冷静に対応してくる槍彦。
「ああ、見てないぜ。信じてくれ」
俺も冷静に対応する。
「その真剣な顔に免じて今回は信じるよ。それで?なんで待ってたんだ?」
どうやら、誠意は通じたみたいだ。
「サンキュー。待ってたのは槍彦に手助けして欲しいことがあったんだ。恵美ちゃんのことなんだけど」
本題を話そうとする俺に対して槍彦は嫌そうな顔をした。
「姉ちゃん?嫌な予感するけど一応聞いてやるよ」
どうやら話を聞いてはくれるらしい。
「おう。じゃあまず、部屋入ろうぜ。ここじゃなんだし」
流れで槍彦の部屋に入ろうとする俺。
「いや、さっき話したこともう忘れたか?誰も入れたくないんだって。理由も教えない」
頑なに部屋に入れてもらえない。
一体ナニがあるんだ……。
「分かった分かった。諦めるよ。実は俺、恵美ちゃんともうちょっと仲良くなりたいんだよ!今、一方的に避けられちゃってるから、どうにかしたいんだよね」
やっとこさ本題に入る。
「お前が避けられてるのはお前のせいだけどな。ちょっと待って」
そう言って俺から離れる槍彦。
1分くらい経ってから戻ってきた。
「何してたんだ?」
疑問を口にする俺。
「ああ、大事なメールが来ててさ。それを優先させてもらったよ」
「まあそれは構わんけど。んで、恵美ちゃんとの仲についてなんだけど」
「ああ。まずお前はなんであんなにうざいことをするんだ?」
と、スマホの時計を確認しながら聞いてくる槍彦。
「ウザがられることをしてるのは自覚してるさ。ただ、これが俺の他人との距離の詰め方だからな。今さら変える気も無いし、変えられないと思う。ただ、これじゃあ恵美ちゃんに嫌われ続けるだけだよなぁ。マジどうしよう」
そう。今更自分を変える気は無い。
でも、変えないとこの問題を解決することは出来ないのも事実。
なかなか八方塞がりな状態だ。
「そんな悩むほど姉ちゃんと仲良くなりたいのか?」
「そりゃあね。少なくとも3年は一緒に暮らすじゃん?このまま険悪だとここに住む皆んなにも迷惑かけるし、なにより恵美ちゃんにも申し訳ないわ。俺がいるだけでイライラするんじゃあ、ストレス溜まりまくっちゃうからね」
心からの本音を言う。
「はぁぁぁ。そこまで考えてて、なんでああゆう態度とるかなぁ。あんなに嫌がられたら少しは態度を変えようと思うでしょ」
呆れた顔で槍彦が見つめてくる。
「いや、まあ、そう思うよな……。なんか恵美ちゃんの親友っぽい人にも怒られちゃったし、事は重大なんだよね。早くなんとかしなきゃなー。だから勘付かれない程度に手助けしてくれね?」
槍彦に手助けを求める。
すると槍彦はため息を吐いたあと、後ろの階段の方を向き、叫ぶ。
「もういいんじゃない?ここまで真剣なこいつはレアでしょ!」
すると。
階段の方から恵美ちゃんが出てきた。
マジか!?
槍彦は知ってたから槍彦が呼んだのか!?
ありがとう!?
「恵美ちゃん!?こんなところでどうしたの?」
なんとなく察してはいるが、一応聞いてみる。
「……。あんた、そんな風に思ってたのね……。しっかりとここに住む私たちの事、考えてるじゃない。ただのおちゃらけたゴミ野郎ではないみたいね」
と、不満げな顔で言う恵美ちゃん。
おおすげぇ!ものすごくいい流れになってる!
このままもっと仲良く……と言いたいところだが、調子に乗るのは止めよう。
こうゆう時こそ慎重に、だ。
「俺も人間だからさ。嫌われたい願望なんてないよ。でも、俺はああゆう距離の詰め方しか知らないから、たまに不快にさせてしまうかもしれない。そんな俺だけど改めて、これからよろしく!」
そうシリアスな顔で言い、手を差し出す俺。
と、そんな俺を尻目に槍彦が自分の部屋のドアを開け帰ろうとする。
そんな事俺が許すと思うか?
ここまでしてくれたんだから、最後まで見届けてくれよ!
そう思ってドアが閉まる前に自分の足を引っ掛け、ロックする。
「おいおい槍彦。せっかくだし、最後まで見届け……あ」
「あ……」
やっちまった。槍彦の方に顔を向けたら、部屋の中見ちまったわ。
槍彦がわなわなと震えてる。
「お前……!!」
槍彦が怒りを露わにした顔で俺を睨む。
「いや、ちょっと待ってくれ!俺たちがいるのに部屋に入ろうとした槍彦もちょいと天然じゃないですかね?俺が足で止めなくてもチラッと見ることは出来たわけだし」
そうだ。俺だけが悪いわけじゃないはずだ。
だからそんなに怒らんでくれよ!
「うるせぇ!問答無用!ぶんな……」
ブン殴る。
槍彦がそう言おうとした瞬間、恵美ちゃんがすごい明るい顔で槍彦の部屋を覗きにくる。
「あ、おい!姉ちゃん!」
その瞬間、怒りで赤かった顔をさらに真っ赤にして、どうにか見えないようにと手で邪魔するが時すでに遅し。
もうガッツリ見られてしまっている。
……。
手で邪魔するより、先に部屋のドアを閉めたらええやん。
槍彦、割と天然だな。
かわいいところあるじゃん。
とかそんなこと言ってる場合じゃねぇ!
なんかこのまま俺の話が流される予感がする!
「ねぇ恵美ちゃん?俺との話はなんだけど……」
俺が槍彦と格闘してる恵美ちゃんに尋ねると、恵美ちゃんはすごく嬉しそうな顔で言う。
「うるさい!今はそんなことより槍彦と語り合うのが先よ!さあ槍彦!部屋に入ってたくさん語るわよ!」
ほら流された。
恵美ちゃんは槍彦のガードを突破して部屋に入る。
槍彦は顔面真っ赤にして、俺を睨む。
「この恨みは忘れねぇからな!」
そう言って自分も部屋に入っていく槍彦。
と、そんな感じで、なぜか槍彦と恵美ちゃんがさらに仲良くなりました!
俺は……まあ、少しは変わったはずだ。
ここからだな!
その日の夜、新たな入居者が発表、お披露目された。
昼に理香さんが言っていた新しい事とはこのことだ。
名前は新島愛希。
昼に俺が出会ったあのギャルだ。
後から確認したが、やっぱり恵美ちゃんとは幼馴染らしい。
新たな仲間に乾杯(お茶)して、今日も今日とて、夜ご飯を食べ始める。
平和最高!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます