勝てない敵?
「……これはヤバイ」
シュウカさんが顔をしかめる。一撃必殺ってことは、攻撃を一度でも食らったら、ゲームオーバーってことでしょ? しかも、無敵状態って……。こっちの攻撃は一切通りませんってことだもん。そんなの、どうやって勝てばいいのって話。
「ヤバイ、めっちゃ興奮してきた」
シュウカさんの言葉で、私とずんだ餅さんは固まる。へ、シュウカさん、今、何て言った……?
「相手の攻撃は一撃必殺で! こっちの攻撃は通らない! 何それ楽しそう!!」
「いやいやいや!? 駄目ですよシュウカさん、勝ち目ないんですからっ」
「そうですよ、何バカなこと言ってるんですか、シュウカさんっ!?」
豪快に笑いだすシュウカさんの服を引っ張って、エレベータの方へと向かおうとする私たち。
『……どっちだろうな?』
シュウさんの声が響く。
「どっちがって、何と何のどっちが、ですかっ!?」
私が問いかける。今、シュウカさんをエレベーターに乗せるのが先決だけど。
『一つ目は、これがイベント戦で、むしろ、負けるところまでがストーリーという可能性だ』
「ええ、ええ、確かに、ナイトメア・ソフトウェアさんならやりかねませんねっ!?」
ずんだ餅さんも、私の反対方向からシュウカさんを後ろに引っ張りつつ言う。そう、ナイトメア・ソフトウェアは、本来娯楽であるはずのゲームで、ある意味ストレスになりうる、心が折れるようなゲームバランスのゲームを作る会社でもある。
そして今はその鬼畜ともいえるゲームバランスを大前提として、ナイトメア・ソフトウェアのゲームソフトを買い求める顧客も多いと聞く。
「そうそう! そもそもナイトメア・ソフトウェアの超自信作の最新作と宣伝しておいて、今までこのゲームで、ああいうくそったれなゲームバランスの敵と出会えなかったのがおかしかったんだっ」
シュウカさん、私たちに引っ張られつつ、ガッツポーズ。……シュウカさん、人格変わってません? いや、それより。
「シュウさん、もう一つの可能性について聞かせて頂けますか」
『……ああ。もう一つは、負けイベントと思わせておいて、実はそのボス級に勝つことのできる方法がある。そして、勝った者のみ、先に進める可能性だ』
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