　内容のすり合わせをしながら、私は今日の特別スキルを使い切ろうと考える。お話がどのくらいの時間かかるか分からないし、話を聞き終わったらすぐログアウトする気持ちになっているかもしれない。

　だから、今のうちに今日の分の特別スキルは使い切っておくのが得策だと考えたんだよね。

「シュウさんシュウさん、今日の分の特別スキルを使い切ってしまおうと思うのですが、何か作ってほしいアイテムなどありますか」

　私が尋ねると、シュウさんは首をかしげた。

「……この店での売れ筋商品を量産すればいいんじゃないか」

　なぜこちらに聞くのか、といった表情。私は、言葉を付け足す。

「それはそうなんですけど、よかったらシュウさんにも何かアイテムをプレゼントさせて頂きたいなと思いまして」

　シュウさんにはいつも助けられている。何か役に立つものがあればいいなって思ったんだ。

　現在の私の特別スキルレベルは、２。スキル使用数は４回までで、同一アイテムは３つまで１回のスキル使用で作成できるようになった。

　つまりは、３つはお店で売る用のアイテムを量産するように使って、１回分くらいはシュウさんへのプレゼントを作成しても問題ないんじゃないかなという感じ。

　それを聞いて、シュウさんは目を細めた。

「……今は、その気持ちだけで十分だ。何かそちらのアイテム作成術で作ってほしいアイテムが出てきたら、また声をかけるようにする」

　確かに急に、どんなアイテムが欲しいですかって聞かれてもすぐには思いつかないもんね。

「はい。ではまた、何か思いついたらいつでも仰ってくださいね」

　私はそう言うと、今日のアイテム作成に取りかかる。とりあえず、現状作ったことのある、『魅惑の毒スプレー』、『にげにげスプレー』、『ばっちこいスプレー』、『ネムネムバクダン』の４種類を作ろうと思う。

　そういえば、『ネムネムバクダン』の原材料の『バクハツの実』を買ってないから、これは後回しだなぁ……。でもそうなると、『魅惑の毒スプレー』の原材料である、『初見殺しの花』も回収してこないと……。

　量産する、というのは簡単だけれど実際に量産するのには色々課題がありそう。毎回カンナさんのお店の商品を使わせてもらうのは気が引けるし……。

　とりあえず、今日は『にげにげスプレー』と『ばっちこいスプレー』を上限である３個作ろう。それで、もう一回スキルを使って同じものを３個作る。

　そうすれば各６個の商品が完成。他の商品のことは明日にでも考えよう。

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