面接に向けて
仕事終わり。本当は、すぐにでもゲームにログインしたかったけれど、その前にやるべきことをやってしまわなくっちゃ。
マイバックを開くと、出てくる新しい履歴書用紙。そして、24時間使用可能な証明写真機で撮った自分の写真。
まだ日程は決まってないけど履歴書が必要って言ってたもんね。先に書き始めておかなきゃ。
私は、履歴書の入ったフィルムを開けて、中身を引っ張り出す。なんだかんだで、履歴書を最後に書いたのは3年以上前なんだと思うと、なんとも言えない気持ちになる。
初めて履歴書を書いたのは、大学に入って学生アルバイトとしてアルバイト面接に行った時。そして正社員として雇われた今の会社の面接のために書いた履歴書が最後。
中学校、高校卒業年度はささっと記入できた。あとは、自己アピールポイントとか、そういった考えて書かないと駄目な場所だけ。
履歴書のこの自己PRの欄だったり、自由記入の欄って、履歴書の作成会社によっていろいろあるよね。
就職活動していた時に使っていた履歴書は、大学の校章やら大学名が入った正式な履歴書だったから、書くことは決まっていて、同じことを使いまわせばよかった。でも、今回は違う。今回は大学名入りの履歴書なんかじゃない。中途採用になるから、パートの人や学生アルバイトの人が使う、普通の文具屋さんや100円ショップで売られているものだ。
私は下書きをしてもよくミスをするから、量を買っておくために100円ショップのものを採用。これは、学生アルバイトの時と同じ。通勤時間を20分と書こうとしたのを20時間と書いてしまったのは、いい思い出。
就職活動の時も考えていたことだけど。自分の強みを見つけることってすごく難しいことだと思う。私は、自分の強みがいまだによくわかっていない。
就職活動の時に書いた自分の長所って何だっけ。一つのことに集中して取り組めること? それとも一つ一つの仕事を丁寧にこなすことができるってこと?
大学の学生アルバイトの時には、接客業をしていたんだけど、お客さんに
「ありがとう」
といわれるのがすっごく嬉しくて、いつも笑顔で接客してた。
うーん、まともに書ける売り込み要素がない。その時、金本部長の言葉がよみがえる。
『どこに行っても無駄だよ』
私は首を横にぶんぶん振る。絶対に、すべての人に一つは長所があるはず。私の長所は、マイペースだから、人の動きに合わせられること。自分も失敗した時に責められると辛いから、人の失敗にも寛大であること。
人のよさを探すことができること。自分で別の用紙に箇条書きにしながら、自分に向き直る。こんな時くらいしか、自分を見つめ直す時間なんて取れないから、しっかりこの際、向き合おう。
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