特別スキルレベルアップ編その1

ジョブを獲得するには


 フジヤさんがまだゲームにログインしているのは、フレンドリストで確認済み。そういえば、シュウさんは元々ログインしてなかったんだよね。


 それなのに、私のゲーム内でのメールにすぐ気づいてくれた。現実のメールアドレスを知っていたら、ゲーム世界から直接現実のメールアドレスにメールを送ることもできる。でも私は、シュウさんのメールアドレスを知らない。


 今どきの仕事場ってSNSとかを通じて連絡を取り合う場所もあるらしいけど、うちの職場は相変わらずすべてメールでやりとりしてる。私自身もSNSを活用しているかといわれたら、そこまでしてない部類に入ると思う。


 ゲーム内のメールボックスにメールが届いたことは現実世界のメールにも通知が行くようになってるけれど、こまめに確認していなかったら、気づかない可能性がある。通知がくるのが邪魔だから普段あまり確認しないメールアドレスを登録してる人もいると思う。


 シュウさんがメールにすぐ気づいてくれて、本当によかった。またお礼しなきゃなぁ。そんなことを思いつつ、フジヤさんに連絡を取る。


『何度もすみません。先ほどの自分探しの旅の件なのですが、今知人に初心者向けのダンジョンを探してもらっていますので、その報告があり次第、旅に出発したいと思っています。報告がありましたら連絡しますので、2人ともが休みの日に、同行お願いしますね』


 今日はもう、特別スキルの回数上限まで達してる。だから、この後ソロでできることといえば、傷薬を大量に作成するのみ。


 そういえば、がんばって少しずつ傷薬を作ってるけど、熟練度とか生産職としてのレベルが上がらないのは、どうしてだろう。


 私は頭を悩ませる。そして気づいた。うん、こういうことは1度ゲームをログアウトして攻略サイトとか調べるのが得策だよね。


 私は、少しだけ店においておけるだけの傷薬の補充を作ると、ゲームをログアウトした。そして、現実世界のパソコンでゲームの攻略サイトにアクセスする。


 そういえば、ネットサーフィンしてる時間は何度かあったんだから、ジョブに関して調べる時間なんて探せばあったのに、完全に忘れてたよねっていう。


 そして、調べ始めてから数分後、私は画面の前で絶望していた。なぜ、今まで調べなかったんだろう。


 私の現在のジョブは、『冒険者』。いわゆる、デフォルトのジョブだ。しかし、この状態だとプレイヤーレベルは上げることができるが、いわゆるジョブのレベルは上げることができないし、熟練度は上げることはできない。


 なんらかのジョブが欲しい場合は、『ジョブ申請所』に行って申請をしないとだめみたい。あー、ログインして結構日にちがたとうとしているのに、こんなことに気づくなんて! 特別スキルに現を抜かしすぎたよ!

 

 

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