再びクエスト受注所へ


 シュウさんと私は、さっそくクエスト受注所へ向かう。クエスト受注所へ向かいながら、私は以前クエスト受注所へ行った時のことを思い出していた。


 あの時、クエスト受注所をクビになった、キアナさん。最近どうしてるかな。再就職できたかな。運がよければ、あの後のことやキアナさんのその後のことが分かるかも。


 自然と足取りが軽くなる。しばらくすると、私たちの目の前にクエスト受注所の建物が現れた。まだあれから数日しか経っていないのに、もうずいぶんここへ来ていないようなそんな錯覚を覚える。


 私たちが建物の中へ入ると、クエスト受注所の内部は、以前来た時から180度変わっていた。


 前に来た時は、受付嬢さん以外ほぼ誰もいなかった受付。でも今は、たくさんの冒険者さんたちと思われる人々がひしめいている。私たちが来たときは、二、三人しかいなかった受付嬢さんも、今日は十数人は配置されていそうで、その誰もがとても忙しそうに動き回っている。


 そんな受付嬢さんの制服を来た人の中に、キアナさんを見つけた。あの派手目の印象は、見間違えるはずがない。


「キアナさんっ!」


 私が声をかけると、キアナさんらしき人が振り返った。私たちを見ると、とても嬉しそうな顔をした。


「あ、サランじゃん。久しぶり。っていっても、まだ数日しか経ってないか」


 そう自分で自分の言葉に突っ込みを入れつつ、キアナさんは言った。


「ちょっとだけ待ってて。この案件が片付いたら、体空くから」


 そう言うと、彼女は風のように走って行った。シュウさんが目を細めて言う。


「……どうやら、仕事に復帰できたみたいだな」

「そのようですね。社員さんなら、てっきりあの案件のその後についてもご存知だと思っていました」


 私が言うと、シュウさんはバツが悪そうに顔をしかめた。


「いや。あの後わたしは報告のみあげて、その後のことは全く知らない。事後処理は専門の部署に投げたからな」


 大手の会社だと色々な部署に分かれていて、それぞれの仕事が違うもんね。専門外のことや、それぞれの部署の仕事範囲外なら、本来の部署に引き継ぐのが当たり前か。


 そんなことを思いながら、私とシュウさんはキアナさんを待つことにする。数分後、キアナさんが走って戻ってきた。


「ありがとね、あたし、無事に受付嬢に戻れたんだ。あのいやーな、クエストマスターもクビになったし」


 キアナさんは、私たちに簡単にあの後の話をしてくれたのだった。


「クエストマスターとギルドマスターの悪事は、あれでバレたからね。クエストマスターはクビ、ギルドマスターのギルドは解散になったってさ。んで、ギルドが握っていたクエストは全部、クエスト受注所に戻ってきたよ。そのおかげでホラ、今はもうこんなにたくさんのお客さんが来てくれるようになったんだ」


 その話をしているキアナさんの表情はとっても幸せそうで。なんだか私も、心が躍るね。


「それで、今日はどんな用? もしかして、クエスト受けちゃうカンジ?」


 キアナさんの言葉に、私は頷いた。


「はい。この街を出た先にある平原でこなせそうな、クエストを受注したくて来ました」


 すると、キアナさんがウインクする。


「まっかせてよ。気合い入れて探してやっからさ」


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