見せろ最高の1本!弱小剣道部の成り上がり。

霜月晴人

第1話 上里中学剣道部。<前編>

僕の名前は霜山しもやま太郎たろう部活動見学会で模擬刀を振ってる先輩たちを見て、厨二心を刺激され入部した。それから早いこともう2年の月日が流れた。


「きょうつけ、礼。」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」


部長の星野ほしのに続いて、皆が外部指導の先生へ挨拶をするいつも夜おそくまで稽古。この後はいつもなら、体育館の掃除や鍵を返しに行くはず、なのだけれども・・・・

いつも職員室で珈琲を飲んでいるだけで、剣道の知識もないに稽古に出しゃばって来る顧問の樋口が来ていた。まあいい先生なんだけどね。


「えーこの夏の暑い時期になってきました。今年も例年通り第八ブロック剣道大会が近続いてきました。先輩達が引退して君たち2年生の初めての大会になると思いますが、先生共々皆さんで一丸となって頑張りましょう。」


その発言に苦笑いをせざるを得ない。一ヶ月後に迫る夏の大会


どうせうちの剣道部は毎年、2回戦、3回戦敗退なのだ。配られたプリントを目にとうして驚く、なんと初戦の相手は夏休みあけに僕が転校する。別の中学校だったのだ。


全ての掃除をやり終え、鍵を返し皆で帰宅をする。

家の方向的にいつも大杉おおすぎ奈良ならと帰宅をしていた。


「絶対今年もすぐ負けて終わるよね。弁当いるかな?」

奈良が笑いながら言った。


「一様持って行こうよ。どうせ終わるまで帰れないしさ、もしかしたら勝ち進むかもしれないよ。」


「そんなことないと思うけどな、大杉はどう思う?」


「特には何も、負けるだけなら行く意味が無いって言う意見には賛成だけどね。」


他愛のない話をしながらも僕は自分の転校の事を皆に伝えるべきなのか、もしそうならいつ言い出すのかチャンスを伺っていた。

それから早くも2週間がたったある時だった。


「というわけで先鋒は霜山、次鋒は佐藤さとう、中堅は大杉、副将は奈良、そして大将は星野にやってもらうことにした。控えは矢崎やざき以上だ。」


樋口先生に昼休み職員室前に呼び出された僕らは6人は試合のオーダーを告げられたのであった。


「それと同時にもう一つ霜山は夏休み明けに転校する事になったから今回がみんなで挑める最後の試合だぞ。」


「「「「「え?」」」」」


皆が声をそろえた。なかなか言い出せない僕の代わりに先生が言ってくれたのであろう。


「なあ、転校するって本当なのか?」

教室で同じクラスの星野と矢崎が僕に話しかけてきた。この二人とは休日にもよく遊ぶ仲だ。


「実はな、親が転勤族だから。」

小学生の頃も一度転校しているため、あまり慣れない事ではなかった。


「どこに行くのんだよ?」

矢崎が聞いてきた。


「中泉第二中学、次の対戦校だよ。」


「なんか運命的だな。これはもう勝つしかないでしょ。」


「勝利門出かあ、悪くないな!いや、勝つだけじゃなくて県大会目指そうよ。おれも頑張って応援とサポートするから。」

星野、矢崎が口々に言った。


「皆がバカにした剣道部が県大会に出場か、悪くないな。」

佐藤が言った。


「いや、むしろいい。」

大杉が言った。


「おい、待てよ相手は殆んど全国常連校だぞ。上手く勝ち進んでも4回戦目まで行かなければ意味がないんだぞ。県大会何て夢の又、夢だぞ。」

奈良が言った。確かにこいつの言ってる事は一理ある。


「でもよ。オーダー見ろよ。上手く勝ち進めば3回戦まで突破できるんじゃないのか?」


「星野だからってなあ、実力が足りないんじゃ何にもならないだろう。しかも4回戦は毎年うちの学校が勝てない快進中じゃんか、いつもと同じような稽古なら到底勝つのは不可能だぞ。」


「ならさ、指導の先生の道場に行かないか?そこなら他にも先生もいるし俺らと同年代の子もいる。先生に頼んでみる価値はあるんじゃないかな。」


さっきまで反論してた奈良も星野の一言に納得したようだった。

「そういうことなら、自由に来なさい。」

部活の終了後、外部指導の先生にダメもとで聞いてみたところ。二つ返事でOKをもらえた。


後2週間で僕らがどのくらい成長できるのか。



「皆やるぞーーーー!」

「「「「「「おーーーーー!」」」」」」


今回も今大会ブロック会長のお言葉をきいた。

始まるんだ。このメンバーで挑む最後の大会が、今年のうちはひと味違う。皆が成長しているんだ。


さあ、始まるぞ僕たちの運命をかけた1回戦が。県大会をかけた試合が。


両校が向かい合い対峙する。この1回戦は絶対に負けられない、先鋒とは勝って流れを掴むものだ。


「初めっっ!」


その合図とともに僕は目の前の相手をこの手にもった竹刀で切りかかるのだった。

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