目覚まし係の紅

目覚ましを殴り付けるように止め、二度寝する。

『早く起きなさいなー』

「……まだ暗いじゃん…………」

バサバサと羽音がしてカーテンが開かれると、朝日が俺の顔を直撃した。

眩しかったので布団に潜り込む。

『ほら朝よ!いい加減起きなさいな!!!』

ガバッ!と勢い良く布団を剥がされた。

「……あと5分…………」

抱き枕を引き寄せて顔を埋める。


『往生際が悪いわね!さっさと起きなさいっ!!!』

「いてっ!?」


***


リビングのドアを開けると、俺の肩に止まっていた紅い鳥が窓辺の止まり木まで飛んで行った。

「おは……ぶふっ、あんたまたやられたの?」

俺の頬には鳥の足形がくっきりと付いている。

使い魔の火炎鳥フレイムバード──フラムに蹴られたのだ。

あぁ、手加減はされているので怪我はしていない。……一応は。

「るせーよ……姉さんこそ、また天然マフラーになってるじゃんか」

そう言いつつ姉さんの首にぶら下がる、くるりと巻いた角が特徴的なテンのような生き物のマフラー……もとい、使い魔のラントを睨む。

「こいつは朝に弱いから仕方ないわよ……で、さっさと朝ご飯食べなくて良いの?」


指さす先にはもうすぐ8時になる時計。

…………ん?


「やっべ待ち合わせ9時だった!!」

俺は慌ててパンとスープを掻き込むのだった。

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