さよならなんだけども
鈴木 那須
第1話 良かったとは言わないものだよ
最近彼女の様子が可笑しい。無意味に俺を避けている気がする。一緒に帰ろうと30分待っていたら「友達と帰る!」って言って帰っちゃうし、「学校であまり話さないで」とか「バレンタインのチョコは作らない」とか言い出した。明らかに避けている。
そしてバレンタイン4日前
チャットアプリの通知が机の端に置いてあるスマホに浮かび上がった。
"あの……話があるんだけど"
右手に持っているペンをスマホに取り替えた。
"何?どうした?"
"部活とか友達でいっぱいで、そこに彼氏とくると私無理かもしれない"
ため息が漏れた。すこし空を見て気を落ち着かせる。
また通知が来た。
"最低なのは分かっとるけど、察してくれたら嬉しいです"
「別れてください」そう言いたいんだろ?
"6日くらい前から察してたわ"
"なら良かった!"
「良かった」……
"良かったなんて言うもんじゃないよ"
こうなる事は予想していた。前述の通り彼女は俺の事を避けていた。別れを告げるかもしれないと覚悟していた。
"もっと部活練習しないといけないから別れてください"
覚悟してても辛い物は辛い。泣くのを我慢して返信をつむぐ。
"なんで?"
"これから部活が忙しくなる。そうなったら話す余裕が無くなる"
うん……
"地方大会に行くにはもっと熱を注がなくちゃいけない"
"これから別れてできた時間は練習に使うのか……"
この言葉のあと、俺は「頑張れよ」的な言葉を贈るつもりだった。うん…つもりだった。
"そういうことじゃない"
え?混乱した。
"勉強とか休憩とかにつかうの!"
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