「抜けと言われた聖剣へし折ったら~」特別編

江田・K

その1「神剣の切っ先の行方」

第1話 切っ先の目覚め


 ――ある夜。

 気が付くと、私はひとりきりでそこに居た。

 誰も居ない、広い広い空間に、私は独りだった。


 何か自分の中で欠けているのが分かる。


「お姉様……」


 ふと口をついて出た言葉に妙に納得してしまう。

 そうだ。

 お姉様はどこに?


 あたりを見回してもお姉様の姿は無い。

 やっぱりひとりきりだ。


「…………」


 集中する。

 お姉様の力の残滓を感じることができた。

 細い糸のようなそれを追っていけば、お姉様に会えるかもしれない。


 そう思うといてもたってもいられなかった。

 走り出す。



 ――ところで、私は誰?

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