第2話 Under Ground

 私の家族は普通だと思っていた。それが普通なんだと信じて疑わなかった。


幼い頃、よく父と母が地下に降りていた姿を目にしていた。


私は二人が降りるその地下に憧れを抱いていた。降りてみたかった。


だけど、両親はそれを許してはくれず、その上絶対に降りてはいけないよ。藍斗が14になるまでは絶対に...と釘を刺された。


私と弟は、たまらなくその地下室に憧れを抱いた


 弟が15歳、中学3年生になった4月、やっと私達兄弟は地下に降りることを許された。


父はこう言った。


「今から見せるもの、話すことは誰にも言ってはいけないよ」


父のその言葉は、私に一層地下室の憧れを強くさせた


「お姉ちゃん。やっと地下に降りられるね。僕楽しみで眠れなかったよ」


「私も。うちの地下には何があるのかしら」


藍斗が14になるまで一切見せてくれなかった部屋だ。相当なものに違いない。


「さあね。あっお宝とか?それかお墓だったりして〜」


「もうからかわないの。そんな訳ないでしょ」


「いやいや、わからないよ〜?だってお宝だったら誰にもバレたくないでしょ」


藍斗の言う事も一理ある。


もし、本当にお宝だったとしたら、誰だって周りに話したくなんてないはずだ。


盗まれるかもしれないんだから。


「さあ、降りるぞ、美都音、藍斗」


「はい。お父様」


降りた先には何があるのかしら。




降りた先にあったものは想像以上のものだったのだ。


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