小さな木

下記詩を受けて作った詩になています。

私に想う心と表現をもたらしてくれたこの詩は、現在アルファポリスに移されました。

ご興味を持たれた方は、是非訪れて見て下さい。



素の詩 僕の詩 作者 小鷹 りく

    第40話 枝



あのすみに、枝ぶりの小さな木があります。


小さな木です。


あそこは確かに陽当ひあたりがあまり良くはありません。


一生懸命いっしょうけんめいに生きています。


養分ようぶんを得ようと、根を伸ばし。


周りに負けまいと、背を伸ばし。


の光を得ようと、枝を伸ばし葉を広げる。


とても気持ちのやさしい木です。


雨が降れば葉に広げて、友達の鳥をその下に休ませてあげます。


カラスだのに追われれば、その身を隠してあげます


悲しいからとり寄って来れば、そっとってあげます。


そうして鳥は、ちー、ちー、ちゅんちゅうと歌い、そして飛んで行きます。


木はそこから動けません。


私の様な名も無き下草したくさも動けません。


だからあの小さくてやさしい木を遠くから見て、

その生きている姿を見て、ただただ心でつぶやく事しか出来ないのです。


頑張って欲しいと。


あのすみに、枝ぶりの小さな木があります。


時折ときおり、葉のこすれる音が、声が聞こえてきます。


かなしい、さみしい、痛い、苦しい。


何処どこかの誰かが、とてもひどい事を言いました。


それは君のさだめ。


それは君の運命うんめい


そこからは逃れられない。


この言葉は、疲れた心のやさしい木をおとしめました。


養分ようぶんを得ようと、根を伸ばした事。


周りに負けまいと、背を伸ばした事。


の光を得ようと、枝を伸ばし葉を広げた事。


小さな木が一生懸命いっしょうけんめいに生きたあかしを、その努力を、気持ちを、考えを、全部無かった事にしたのです。


この言葉は、このやさしい木の行く末をんでしまう。


生きる事も、死を選ぶ事さえも、自らの意思ではできないのだと言っている。


今まで根を伸ばし、背を伸ばし、枝を伸ばし葉を広げたそれは、

君の意思、君の努力、君が生きたあかし


誰にも否定ひていはさせない。


君にさだめや運命うんめいあたえるものがいるのなら、それが人であれ、神であれ、何であれ。

私は許さない、許せない。

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