聖戦

@回復の泉のほとり

「もうちょっとで最強防具買えたのによー」

フレイは俺の横で、襷掛けにした長剣『フレイムソード』を背中から放り、筋肉質な巨体を草上に敷いた緋色のマントの上に横たえた。


魔王城城下町まで馬で3日、早馬なら2日の場所にある泉。俺たちは今晩その泉のほとりで野宿することにした。もうこの辺は人間の経営する宿屋はないからだ。


「始まりの町の木の棒よりいいだろ。それに防具は各々最強にしたからいいじゃないか、HPもMPも満タンだしね」

そう言って俺リュミエールは自分の黒髪にはまった青い守りの宝珠のついたサークレットを指差す。


俺たちは勇者の子どもたちで、俺とフレイは異母兄弟にあたる。王の召集を受け復活した魔王を倒しに行く途上だ。最終決戦は明後日か明々後日か。不安がないといえば嘘になる。だが今までだってバッタバッタと魔物を薙ぎ倒してきたじゃないか。きっと魔王も殺せるはずだ、アイツにだってできたんだからーー

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