第42話 瀟洒なメイドと紅い指輪、ですか?
~悠介視点~
ダンジョンの道中、スマホに届いたメールを見る。
「・・・バニップねぇ。」
「どーかしたかユースケ?」
「新しい仲間が増えたんだってさ。」
「おお!」
「また魔物の方なんですね・・・。」
ザシュウッ!スパァンッ!どかーん!!
ちなみに戦闘中である。俺以外の三人が余裕でその場に発生していた魔物のオークを瞬時に下した。
現在二度のボス戦を軽く下した俺達はさっさと進み、現在十三階層を進行中である。
そろそろ入って四時間は経つ、休憩するか?
「しかしたったこれだけの時間でこんなに進めるのはやはり異常でしょうね、カエデ様も十分チートです。」
かえでの使えるようになったのは新しい魔術だが、その性能は俺の魔法に肉薄するほど強力なものだった。
【
通常のバフ魔術ではせいぜい効いても数十分程腕力だけ、スピードだけ上げるものはこれ迄にあるのだがかえでのそれは
自らのテイムした者のみ有効かと思いきや俺やシルバーまで効いたのは呆れる他ない。
そのお陰でスタミナまで大幅に向上しているので疲れ知らずのフルスピード行軍を長時間してても余裕なのであった。
「休憩・・・いる?」
「疲れてないぞー!」
「いっその事二十階のボスを倒してしまってからお昼でいいのではないでしょうか?」
「余裕でござるな!」
そうして飛び出してきた魔物や罠を文字通り踏み砕きながら俺達の快進撃は三十階層まで止まることは無かった、途中からはボスまでが化け物でも見たような顔で逃げ出す始末である。
その後止まったのはそのボス部屋で見たことも無いアイテムをドロップしたからであった。
「指輪・・・ですかねコレは。」と、アリスがつまみ上げたのはルビーのような赤い宝石を輪っかに整形したかのようなモノだった。
「ただのプラスチック細工・・・じゃないよな。」
「そもプラスチックがこの世界にあるかも怪しいですから。あれ?」
「どうした?」
「おかしいですこの指輪、わたくしの鑑定が通りません。」
ん?なら俺が【
「んーと、『【獣神の指輪】装備したものは獣神フェンリルの加護を得る。レア度
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~かえで視点~
「それにしてもビックリだねぇ、私が名前つけた途端にテイムされたことになってパワーアップするとは思わなかった・・・。」
「わたしもですよ・・・ありがとうございますお嬢様。」
バニップに付けた名前はクララ、某国民的アニメなど知らないけど実家にいたアメリカンショートヘアの名前をそのまま付けたのは黙っておこう。
すると衰弱に近く肌もボロボロな状態だった彼女は瞬く間に肌艶は美しくハリも出てモデルのような仕上がりに、近くで見ると少し黒ずんでいたためくすんだ銀色に見えていた毛並みは新雪のように真っ白に輝き始めたのだ。何も知らない人が見れば神々しくさえ見えるであろう。
「あのー、お嬢様だけはやめてくれないかなぁ・・・私実家でもそう呼ばれてたからさ。」
「何を仰います、わたしは戦いはそこそこではありますが家事能力でしたらお任せ下さい!お料理はもちろん掃除洗濯夜伽までこなしてみせましょう、メイドとして仕える技術は完璧です!」
「今不穏なワード混ざらんかったか?」
「料理得意なだけのウチよりも女子力が高い・・・!?」
「うーん、まあいいか・・・いいかな?じゃあ仲間の印としてコレあげるね?」
そう取りだしたのはスマホの予備である。
先日夢の二台持ち出来るんじゃない?と思って買ったけどなぜか一人一台までだったので泣く泣く【
「えっと、お嬢様これは?」
「これは私たちだけが持ってる特別アイテムのスマホっていうんだ、ほらこうやってレーダーにもなるんだよ!」
「なるほどなるほど、ではこの表示された
「うむ、それは青が我々パーティであり・・・赤は敵の反応じゃ。」
「えっ!?」そう反応して画面を確認すると目の前のクララが敵性反応・・・というはオチはなく、おうちの周りを囲むようにいくつかの赤い点が表示されていたのだった。
「なるほどお客さまですね?お嬢様方、ここはわたしにお任せいただけますか?」
「えっ、いいけど。」
「承知致しました。」
そう言った瞬間にクララは目の前から消えた。
「えっ!?」
「なんというスピードじゃ!もう家の外に飛び出しておるぞ!?」
「ウチの目でもギリギリ見失わなかった程度や・・・何が戦闘は苦手やっちゅうねん。」
その後物凄い勢いでマップアプリから赤い点が次々消えていき、クララは静々と屋内に戻ってきました・・・。
「お目汚し失礼致ししました。」と瀟洒に礼をして。
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