第2話 一日中ぼくの後ろについてくる


「おうっ、シュウジおはよう!どうだ?今日の帰りカラオケ行かね?」

「いや、今日は遠慮しとく。ちょっと色々事情があってやる事があるんだよ。」

教室に入ると、僕の存在にいち早く気づき、気さくに話しかけてくるこいつの名前は縁川えんかわ ケンジ。

小学校からの付き合いで、中学、高校と同じの腐れ縁という関係なのだが…

今日はやけにクラスメイトとケンジからの視線が痛い。

いつもならケンジか数人の視線を浴びるくらいなのに、今日はこちらを振り向かない者はいなかった。

なんでだ?

「なぁあ、シュウジ。お前の性格って穏やかで優しいと思ってたけど…うん。

結構、ドSだったんだなぁ…。いや、別にお前のことを悪く言ってるんじゃないぞ?なんというか、場所が場所だからさ?まぁ、ほどほどにしろよ?」

ケンジは、赤面の顔で困惑した様子で視線を僕に向けてる?いや、よく見ると後ろに視線がいっている様に見える。そして、去り際に僕の肩に手を置き耳元でささやく。

「俺も"メイド"好きだぜ!」

「はっ!?」

僕は、3文字の単語で、何故クラスのみんなが僕に向けて痛い視線を向けて来たのか何となくだった答えが確信へとかわった。

クラスメイト全員の視線は僕なんかを見ていなかった。

見たくはないが、見なければならない。恐る恐る後ろを振り返るとそこには、朝のメイドが立っていた。

「やっぱりお前かよ!」

「はい、私ですが?どうしました?シュウジ様?はっ!まさか、私の名前を忘れてしまったのですか?仕方ないですね。この忘れん坊さん。私の名前はm」

「メイさんだろ?覚えてるよ。違う、違うんだよ。僕が言いたいのはなんで、そんな格好でいるのかってことと、なんで学校にまでついて来てるのかってこと」

何故驚かれてるのですか?なんて顔をしているこのメイドだか、今の格好がどれほど僕の誤解を生んでいることか…

今の僕は、学校で女の子にコスプレをさせ辱めるオープンスケベと化してる。

「えっ…シュウジ様。これ以上の露出のメイド服はここでは…きついです…。」

「やめてぇー、クラスの皆んなの視線が痛すきで鬱になりそうだから!」

「というのは冗談で…」

どうしよう心の中で煮えたぎるものが…

僕は、荒ぶる心を沈めドードーと自分に言い聞かせる。

一方で、メイドのメイさんに関してはなんの恥じらいもなく話し続ける。

「私がこの学校に何故いるのかという質問については、ここが私の通っている学校だからという単純な理由です。」

「えっ、まじ!?えっと…ちなみにメイさんの歳は僕と同じ…」

「はい、18です。」

「な、なん、だtooooo」

衝撃的な事実に酷く困惑する。メイド服から見える胸部は高校生の平均を大きく上回る大きさでてっきり、年上だと…

「そして二つ目の質問である、何故この服なのかというと…それは…」

「それは…」

ゴクリッ、まさかメイさんにはメイド服を着る深い理由が…

「これが私の正装だからです!」

「バッキャロー!」

僕はメイさんの手を引き、すぐさま女子更衣室へと連れて行った。

その時に、女子のキャーっという歓喜を表す声と男子の円陣をくんで何やら呪文を唱えているのは見たり聞かなかったことにしよう。

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