ジム・ブラウナー?
おいおいホームズ、「ボール箱」事件のことを忘れたのか?
メアリ・カッシング嬢と結婚した酒飲みの船員だよ。
メアリと離れたくなくて、南アメリカ航路からリヴァプール、ロンドン間の定期船に仕事をうつしたっていうんだから、相当な愛情だったんだろうね。
コンカラー号・・・・・・いや、メイ・デイ号だったかな。
【ネタばらしコラム】
この先、「ボール箱」の内容に言及します。未読のかたはご注意ください。
いわくつきの作品。
というのも、1893年の作品なので本来は第二短編集『回想のシャーロック・ホームズ』に収録されるはずが、内容を鑑みて作者自身がカットしたという経緯があるからです。
ところがイギリス版より早く刊行されたアメリカ版では削除されないまま出てしまい、差し止め、刷り直しとなったそう。
ホームズの日本語翻訳版は複数の出版社から出ていますが、現在、創元推理文庫版では第四短編集『シャーロック・ホームズの最後のあいさつ』に、角川文庫版では第二短編集『シャーロック・ホームズの回想』に「ボール箱」は収録されています。
ドイルが問題としたのは、切り取った耳を送りつけるという過激さ。そこに男女の愛憎、不倫といった要素が加わるのですから、当時のイギリスという事情を考えれば、妥当な判断なのでしょう。
現代の日本からすると「え、そんなことで。フィクションなんだよ」という感覚のかたが多いかと思いますが。
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