ジョン・クレイ?

 待ちたまえ、ワトソン君。この悪党のことなら、しっかりと覚えているさ。抜け目のなさではロンドンで四番目、大胆さにおいては三番はくだらないだろう。イートンからオックスフォード、まさにエリートだ。王家の血筋ということにこだわるあたりはあわれだがね。やつにはいくらか借りがあったが「赤毛連盟」の事件でチャラということにしておこう。




【ネタばらしコラム】

以下、「赤毛連盟」のネタばらしがあります。





 全エピソードを読んでいない人も、きっと子ども向けの翻訳版で知っているだろう「赤毛連盟」。知名度の高さはその犯罪のユニークさ(馬鹿馬鹿しさ、大胆さ)ゆえでしょう。

 ミステリー史上屈指の犯罪計画を練り上げたプランナーがジョン・クレイ。ビンセント・スポールディングという偽名でお人好しの質屋のところに潜り込んでいます。

 高貴な血を引くという設定は、グラナダ版のドラマでよく表現されています。お巡りには軽々しく触れられたくなくて立場の違いを持ち出し毅然と拒否するが、言い逃れや惨めな抵抗はせずに逮捕される妙なプライドの高さがきちんと示されます。

 当時のイギリスの階級意識みたいなものの匂いは嗅ぎとれますね。

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