04 日本事変と復活の日




 2020年8月2日正午、大規模な爆発が、中部地方で複数発生した。政府はこの爆発を「テロリストによる犯行」とし、東区をあげて主犯の捜査に乗り出すこととした。


 が、その日を境に全国各地でザ・ブラインドネスの発症例が相次いだ。


 そして時を隔てず、検察庁は驚くべき見解を示した。中部地方で発生した爆発は、日本政府の「最後の砦」であった、というものだった。さらに壁の西側の「人権喪失問題」も政府による〈消毒〉であったことを明らかにした。


 つまり、政府はテロに見せかけて粛清をおこなった、というものである。この日、秘密裏に随所に配置されていた「埋め込まれた核爆弾」の存在が白日のもとに曝され、首相をはじめ関係閣僚が相次ぎ辞任、という事態になった。


 ザ・ブラインドネスの発症者は増加する一方で、日本は大混乱をきたした。


 しかしながら、発症者の中から、僅かに視力が回復した者たちが現れた。彼らは再び荒廃した社会の中に立ち上がり、残された人々に希望を与えた。


 2022年、崩壊しかけた国は、再び和平を取り戻した。かつてそうであったように、人々は助け合いながら、彼らの社会を再建することにした。

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