017(裏切りの男、再び)
バサラはオフィスに戻ると、何やら騒がしい。職員が皆、窓から外を見ている。
「何があったんだ?」
バサラは同僚の1人に聞く。
「真田少尉、大変ですよ。真田少尉に殺意を持った人間のテロリストがビーム兵器を持って暴れてます」
「まさか、右手のない男か?」
「心当たりがあるんですね。鼎一色の時と同じで小型ビーム兵器を持ってます」
バサラが上げた情報…………。バサラは自分の手で決着を着けようと考えるが、アンタレスに所属している以上、人間には手を出せない。いくら、宇宙人の兵器を持っていたとしても。こういう時こそ超法規措置だ。
バサラは腕時計型ウェアラブル端末で織田長官と通話する。
「真田隊員、どうしたね?」
「例のテロリストの男を俺に始末させて下さい。宇宙人の兵器を持ってます」
「また鼎一色のような事が起きたら大変だ。行ってきなさい。責任は私が取る」
「ありがとうございます!」
バサラは急いで外に出る。そして、男から距離を取った所に立ち、対峙する。
「やめろ! 撃ったら暴発して死ぬぞ!」
「貴様ー! よくも右手を! ロボット義手を着けるカネもねえ! 死んだ方がマシだ!」
「お前が裏切るからいけないんだろ!」
「何だと!? 貴様を巻き込んで、天国へ行く!」
男が左手で小型ビーム兵器を構えた瞬間。ヒュッ、スパッ。バサラは30メートルほど離れた位置からチェーンのナイフで男の左手首を切り落とす。
「アー! アー! アー! アー! 腕がー!」
バサラはのたうち回る男に近付き、小型ビーム兵器を拾い上げる。肉片となった指を慎重に剥がしながら。
「何故、人間が宇宙人の兵器を持ってた?」
「うわー! 貴様ー! ぜってえ許さねえー! うわー!」
会話にならない。入手経路を聞き出さなくては。
「アンタレスもビーム兵器を扱えるようになれば、テロリストを殲滅できる。いや、危険かな」
他の隊員がやって来た。
「真田少尉、無事ですか?」
「ああ。この男を医務室に運んで」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます