011(ミッション)
バサラは織田長官に報告する。
「3日前の爆発テロは小型ビーム兵器かもしれません。チェーンのセンサーで視ました」
「どれくらいのサイズだね?」
「拳銃とほぼ変わりません」
「トラピストの使徒の間でも、トップシークレットの物がテロリストに渡っていると?」
「繋がりはあると思います」
「真田隊員、顛末書を書けば、金の事は目を瞑ろう」
「えっ、減給には…………」
「そうか、減給という手もあったな」
「済みません!」
「ハハハ、冗談だよ」
バサラと織田長官は親子みたいなものだ。バサラは織田長官に育て上げられた。
「真田隊員、君はアンタレスのエースだ。トラピストの使徒の母船に侵入して、深層深部のトップシークレットを盗み出すのだ。手段は選ばなくていい。やってくれるかい?」
「やります!」
「宜しい。キノ君をリーダーとして動いてくれ」
「はっ!」
「それでは、下がっていいよ」
「失礼しました!」
バサラとキノは長官室から出る。
「はぁ~…………力が抜ける。怒られるのかと思った」
「バサラ。織田長官は人格者だ。理を考えているのだろう」
「このチェーンどうしよう。ずっと持ってたけど」
「待機用のチェーンか? 新しい物に交換してもらえ。それより、織田長官にとんでもない要請をされたんだぞ」
「分かってるよ。無茶な話だって…………。取り敢えず、顛末書を書いてくるよ」
「私は情報収集をしよう。それと、他の仲間も集めないとな」
「他の仲間? アンタレス以外にか?」
「織田長官は手段は選ばなくていいと言っていたろ。アンタレスだけでは手に負えんだろう」
「なるほどな」
「顛末書、頑張れよ」
「簡単に言うなよ~。あれは重労働だ」
「ただのデスクワークだろ、ハハハ。じゃあな」
バサラは自分のデスクで、顛末書を書く。難しい。始末書や顛末書は、未だに紙に書くのが決まりだ。変だ、おかしい。犯宇宙人を追いかけてる方が、よっぽど楽だ。バサラは暫く集中する。
「おーい、ハイブリッド。今度は何をやらかした?」
純血の戯れ言だ。
「木村か。今忙しいから」
木村中尉は純粋な人間なのに新型のチェーンを自在に操る。天才肌だ。
「テロを防げずに警官30人が死亡だってな」
「1人重体だけど生きてるよ。それに新兵器による自爆テロだ。不可抗力」
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