009(警察署)
ーーバサラとキノはタクシーに乗り、警察署へ向かう。
「お客さん、アンタレスの人? 数日前に凄い爆発があったね。あれも、エイリアンの仕業かい?」
「詳しくは言えないが、宇宙人が関わってるよ」
キノはちょび髭を触りながら答えた。
「いや~、私の自宅が近くでね。屋根が吹き飛んでしまったよ」
「運ちゃん、稼がないとな」
「トラピスト保険は9割補償の約款でね。残り1割は稼がないとね、ハハハ」
15分ほどで、タクシーは警察署の駐車場に着いた。
「支払いは、電子マネー? それとも、アンタレスのタクチケ?」
キノはポケットからタクシーチケットを取り出して、運転手に渡す。アンタレスが代わりに支払ってくれるシステムだ。
「毎度あり~」
バサラとキノはタクシーを降りる。
「はぁ~、取り調べか~」
またバサラはため息を吐く。
「とにかく、行こう」
バサラとキノは警察署内の窓口へ行く。
「アンタレスの真田バサラ少尉ですが」
「ああ、真田様。お預かりしてる物を返却致しますね」
バサラは意味が解らなかった。警察は何を預かってるのか? 対応してくれる女性署員はどこかに電話をする。一昔前ならスマートフォンと呼ばれた端末だ。
数分して男性署員が、バサラに声を掛けた。
「真田さん? これは、お返しします。病院では保管出来ないみたいだね、本物は」
バサラが装備していたチェーンだ。バサラはチェーンを渡される。
「あ、どうも」
「それでは、確かに」
男性署員は戻ろうとする。
「ちょっと待った!」
「何ですか?」
「おとがめは…………なし?」
「アンタレスの上層部に話が行ってるらしいよ。いや~、怖い怖い」
「クビもやむなしか…………」
キノはバサラの肩をポンポンと叩く。
「バサラ、基地に戻ろう」
バサラとキノは警察署に来たのと違うタクシーに乗り込む。
「アンタレス飯田基地まで頼むよ」
「…………毎度」
今度は無口そうな運ちゃんだ。トラピストの使徒の。
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