003(ダーティワーク)

「何!? 札束よりは良いが、四人で分けるには」

「チェーンのナイフで切ればいい。取り出すぞ」

「ナイフが使えるということは、バージョン1.0以上、軍属か。良いアイディアだな」


バサラは穴からインゴットを全て取り出し、チェーンのナイフで四等分に切断する。金は柔らかいからバターの様に切れる。


「素性は詮索しない約束だろ? 闇サイトなんだし。見張りの二人を呼んでくれ。ずらかろう……」


バーン! 銃声だ。


「……銃声!? マシンに見付かったか? インゴットは切った。逃げよう!」

「おかしい、まだ20分経ってない」


見張り役の一人が、慌てて来て、バサラに拳銃の銃口を向ける。


「札束を寄越せば、天国へ行かせてやる!」


指示を出す男にとっ想定外だ。


「裏切ったか!?」

「ダーティワークに裏切りは付き物だろ」


バサラは冷静だった。


「一人殺っちまった! 二人も三人も関係ねえ! 死ねー!」


バーン! バシッ! 裏切った男は拳銃の引き金を引いたが、バサラはチェーンのシールドで防ぐ。


「ナマクラは効かねえよ」


ヒュッ……スパッ! バサラはチェーンのビームの紐を急速に伸ばすと同時に子機の先端をナイフに変化させ、見張り役の男の右手首を切る。しかし、見張り役の男は平然としている。


「外れたな。いつまでシールドが持つかな!?」


バーン! ドサッ。


「当たってるよ。残念だったな」

「うっ…………腕がー! 腕がー!」


見張り役だった男の右手首が切り落ち、その場で踞る。


バサラは指示を出す男が用意したジュラルミンケースにインゴットを入れる。


「急ごう! マシンは銃声を察知してるはずだ」


バサラと指示を出していた男は走って車まで行く。


古いバギーだ。バサラは助手席に、男が運転して走り出す。


「足が着かないからって、やっぱ闇サイトは危険だな」

「俺のことは信用するのか?」


バサラは男に問いかける。怪しい男だ。


「俺の名前はヨッシーだ。宜しく」

「俺は、真田バサラ少尉っ……あっ」


バサラはうっかり軍属だと口を滑らしてしまった。

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