第6話
「アイラさん、お久しぶりです」
エリサさんが黒髪の剣士、アイラに挨拶をする。
彼女の背中には両手剣らしきものが装備されている。
オレの剣も両手剣だからちゃんと修行が合いそう。
「おぉ、エリサか。久しぶりだな。ん?そこの小娘は?まさか……お前の子供か?」
「違うますよ。この子はですね……」
エリサさんがアイラさんにオレのことを説明する。
「なるほど……その歳で記憶喪失とは。レティシアと言ったか?」
「あ、はいレティシアです。よろしくお願いします」
「うむ、よろしく頼む。で、剣の修行がしたい……と。良いだろう、一週間でそれなりに仕上げてやろう」
一週間……
超高速だな。
だが、ありがたい。
「ありがとうございます」
「うむ、じゃあ今日から私の家に住み込みで修行をするぞ。覚悟しといてくれ」
えっ?住み込みなんすか……まぁ良いけど。
「じゃあ、私は1週間後に迎えにきます。頑張ってくださいね」
覚悟しろとか言ってたけど……大丈夫かな?
まぁ……ガンバリマス。
「はい、頑張ってきます」
オレ、生きて帰れるのかな。
「にしても、レティシアが腰に差しているその剣はまるで……」
??、よく聞こえなかったがアイラさんが何かを呟いていたような……
ま、いっか。
それから1週間、オレは毎日修行をした。
まず初日は、基礎体力づくり。
そもそも、剣を持つだけの筋力もないからね。
2日目は、基礎体力づくり+剣のただしい持ち方。
持ち方は少し変えただけなのにまるで剣が軽くなったように感じた。
重心って大事だなぁと感じた。
3日目〜6日目までは剣の素振り。
正直、6日目まではそんなに厳しくなかった。
ちゃんと飯や水も貰えたし。
寝床やトイレもあったし。
しかし、最終日が一番の難関だった。
朝日が差し込む。
オレは目を覚ました。
…今日は、修行の最終日か。
今日もそこまで辛くはないだろう。
オレは、布団から出て、近くの壁に立てかけてあった例の剣を腰に差してアイラさんの家の裏庭に出た。
もうすでにアイラさんが居た。
「うむ、今日も来たな。では今日は最後の修行だから…今までで一番難易度の高い修行をするとしよう」
さーて、今日はどんなのかな?
「私を倒せ」
はぁぁぁぁぁ?
剣士始めたばっかのオレがアイラさんを倒すプランがまるで出てこないんだが?
「あぁ、もちろん使うのは真剣で寸止めでな。真剣でもし刺されたりしたら私も敵わん」
それは良いけどさぁ。
うーん、ま、頑張りますか。
アイラさんが剣を上段に構えたのでワンチャンの武器破壊を狙ってオレは下段に構える。
アイラさんが仕掛けて来た。
オレの剣がアイラさんの剣にぶつかり鈍い金属音が鳴り響いた。
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