第5話

……拘束解除。


警告、聖剣の覚醒を確認。


警告、人間の権限を超えています。


警告、魔力量測定不能。


よく分からない声が脳内に響く。


だが、そんなものはどうでも良い。


目の前のヤツを殺せればそれで良い。


「や、やめろ。わ、悪かったから」


……人を殺しといて、謝れば済むと思ってるのか?


「そ、それに俺を殺せば、お前も俺と同じ人殺しだ……ハハッ」


確かにそうだな……だが俺は彼女の仇を取れれば!


「ここで死ね、クソ野郎」



……剣を振り下ろそうとすると、俺の身体には槍が刺さっていた。


ヤツにとどめを刺せなかった。


俺の身体が地面に倒れる。


ダメだ……まだ……


身体に力を入れても動けない。


動け……せめて彼女の仇を……


「もう君は動けないよ。どうあがいてもね。それにソイツならもう君に両手を切り飛ばされたせいで、大量出血で死んじゃってるし。

にしても、まさかこんな時代に僕に神槍を使わせるとはね」


いつの間にか俺の横に少年が立っていた。


誰だコイツ…まぁ仇はうてたしいいか。


これで満足だろ?弥生。


「こんな科学によって神秘の力が根絶した世界で覚醒者が出るとは……そもそも何でこんなところに聖剣エクスカリバーが放置されてるんだか。この世界に君を置いとくのは危険だ」


何を言っている?覚醒者?何のことだ?











……オレはエリサさんのベッドの上で目を覚ました。


窓から美しい朝日が差しこんでいる。


異世界生活二日目である。


最近、悪夢を良く見ている……気がする。


今日、確かエリサさんの知り合いの剣士のところを訪ねるんだよな。


いい加減身体を起こし、立ち上がる。


居間に行くと既に起きていたエリサさんが待っていた。


「レティシアちゃん、おはようございます」


「エリサさん、おはようございます」


「あ、パン食べます」


「いただきます」


ここのパン簡単に言うと短いフランスパンである。


割と硬いのでロリには少々噛みずらいが別に不味くは無い。


「ご馳走様でした」


「では、私の知り合いのとこに行きましょうか」


「了解です」


エリサさんの家を出た後、生前のきちんと舗装された道とは全く反対の地面からただ草を引っこ抜いただけのような凸凹な道を、エリサさんとたわいもない会話をしながら歩いて約1時間ほど経つと誰もいない場所に1つの家がポツンとあった。


この家も木造だが、エリサさんの家よりも少し大きい。


エリサさんがその家のドアをノックした。


するとエリサさんと同じくらいの背の高さの


黒髪の女性が出てきた。


……この国の女性は、どうして背の高さが高いのだろうか?


あ、オレの背が低いだけか。慣れないね、この身体。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る