第114話 暗殺者ギルドの後始末

 俺は護衛戦艦で暗殺者に襲われ、暗殺者を操っている暗黒魔法で造られた黒いサソリの入れ墨を追いかけて暗殺者ギルドのアジトに入り暗殺者ギルド長を探しているのだ。

 俺は暗殺者ギルド内の地下の大広間で待ち受けていた、この暗殺者ギルドのギルド長を除く暗殺者全員を聖魔法で倒した。

 聖魔法で暗黒魔法の暗殺者に仕立て上げる黒いサソリのような入れ墨を追い出しただけだ。

 これで大多数の暗殺者集団は大人しくなり、それでもなお向かってくる奴は雷神で倒した。


 俺はこの暗殺者ギルド内で出会い、今も俺の雷神を受けて

『プスプス』

と煙をあげて気を失っている火魔法使いの二人組の元冒険者マリンとマリヤに、また水をかけ聖魔法で治療する。

「二度あることは三度ある、というが今度は無いぞ!」

と、俺がすごんで見せると、坊主頭の尼さんになった二人は抱き合いながら

「ウンウン」

とものすごい勢いで首を上下する。・・・首がもげそうだ。


 暗殺者の中でも暗黒魔法のサソリの入れ墨で無理やり暗殺者になった者が半数近くいて、そのサソリを追い出すと俺に臣下の礼を取った。

 その者達に、残りの暗殺者を鉄の牢に入れて見張っているように命令じる。

 俺は火魔法使いの二人組を立たせる。

 二人の衣服の面積がさらに減ってしまった。・・・これではもうすぐ18禁だな。・・・等とまた変な感想を抱いてしまった。

 しょうがないので、真正カンザク王国側とテン・ムスタッチ側の交易用の衣服のサンプルを魔法の袋に入れていたので出して渡してやる。


 衣服が焦げているので動くたびに体が汚れる。

 二人を別室に連れ込んで水魔法で汚れ落とし風魔法で体を乾かす。

「あ~れ。」

だの

「私の初めてをあげる。」

等言うな暗殺者ギルド長、こいつら流に言えば親方様の妾だろう。

 速くドレスを着ろよ!


 つる禿に美しいドレスは動くマネキン人形だな。・・・実は二人ともかなり若くて美人なのだ。

 つる禿も可哀想で、しょうがないので商品のかつらも出して渡したら

「あたいら、アンタのめかけになるよ!」

等と言っている。・・・女は分からん!しかし能天気な奴等だ。

 二人はドレスの裾を摘まんで先を歩きだす。

 足元の靴も歩くたびにボロボロと崩れて、足跡のように残り最後には素足になったので、衣装に合わせた靴も出してやったら

「あたいら、お姫様みたい、やっぱりアンタの妾になるよ‼」

等と能天気な事をいって先を競って案内し始めた。


 進むにつれて、嫌な気配が漂ってきた。

 前を進む能天気娘の二人組は、危機が迫っているのが解らないのか

「キャピキャピ」

言いながら先を歩いていく。

 くの字に折れ曲がって先が見えない曲がり角にきた。

 先を行く二人の腰を掴んで大きく後ろへ飛ぶ。

 二人は

「いやね、あたいらの美しさに発情したの。」

等と顔を真っ赤にして能天気にささやく。


 彼女等を降ろすと、残念そうにしながらも通路の先の曲がり角に見たものは、曲がり角から顔を出した腐臭を放つドラゴンとそれに乗った魔族の融合した姿だった。

 それを見て能天気二人娘が今度は真青になった。

 ドラゴン単体でも追い払うのに国の一個小隊の兵士が必要だ。

 それに同等程度の実力を持つ魔族を融合させている。

 通常なら大変なのだが俺が相手をするのだ。


 腐敗したドラゴンが

「グワーッ」

と咆哮をあげると、臭い息と共に血や腐肉が襲い掛かかってきた。・・・ドラゴンは基本火を吐くのだが、腐敗して水分がかなり減っている火を吐くと自分自身が燃え上がるので血や腐肉をかわりに吐いたのだ。

 しかしこんなもの浴びただけで、感染症で死んじまう!

 風魔法で弾き飛ばす。

 腐敗して黒い体表のドラゴンが自分の血や腐肉を浴びて、赤黒く斑にそまる。

 ドラゴンに乗っていた魔族が両目を見開く、目の中には小さいが禍々しい気を放つ真黒な魔石が埋まっているではないか。・・・やばい早く倒そう。


 俺は右手に守り刀の雷神、左手にドラゴンキラーを魔法の袋から出して握ると二体に向かっていく。

 ドラゴンの首がドラゴンキラーで落ちる。

 魔族の首が雷神で切り落とされる。

 俺が二刀を振り回すたびにドラゴンと魔族が切り飛ばされて、解体されていくのだ。

 腐臭を放っていたドラゴンと魔族から体内に残っていた魔石を取り出した。


 能天気二人娘が魔族の首の両目から禍々しい気を放つ真黒な魔石を素手で取り出そうと近づく、俺は

「死にたいのか!」

と大声で怒鳴りつけた。

 俺の一喝でビクンと能天気二人娘がその場で凍り付くように立ち止まった。

 すると、どこからか多数の大ネズミが現れて禍々しい気を放つ真黒な魔石を植えられた魔族の首を咥えて去っていった。

 大ネズミの集団を見て、俺に怒鳴られて凍り付いていた者が驚いて柱にしがみ付いていた。


 ドラゴンと魔族の融合体だ、これから先は暗殺者ギルドの親方、ギルド長しか待っていない、この二人は足手纏いだと思って先に行こうとしたら、俺の両肩にしがみついていた柱から能天気二人娘が飛び乗ってきた。

「へっへっへ、あたいらこれで何があっても平気だね。」

等と言っている。・・・本当に能天気だ!

 二人を肩に乗せて進む。・・・俺もたいがいにお人よしか、スケベだな二人の長い足が美しい。

 今度はとうとう不自然な形で唐突に行き止まりになった。


 時々行き止まりのはずの壁が歪んだりノイズが入る、視覚阻害の魔法だな、そのまま突き進む、何か魔法の障壁もあったのか

『パリン』

という音と共に砕け散った。・・・肩の上の能天気娘が何か叫んでいたが。

 そこを抜けると大きな扉がある。

 能天気娘を肩から降ろす。

 俺が大きな扉に手をかけようとすると内側から扉が開いた。

 扉の奥には小太りなおっさんが、手に魔法使いの使うような杖を持って椅子に偉そうに座っている。

 どうやらこいつがこの屋敷の主であり暗殺者ギルドの親方、ギルド長らしい。


 暗殺者ギルドの親方、小太りなおっさんが椅子から立ち上がる。

 奴の周りに黒色のサソリが何匹も漂っている。

 小太りになって見えたのは、周りを飛んでいるの黒色のサソリのせいだ。

 すると、このアジト内で知り合った暗殺者ギルドの親方のめかけを名乗る能天気二人娘が

「この部屋は親方様の部屋だけど?

 誰、あのおっさん!

 あたいらの親方様じゃない?」

等と言って二人で火魔法を放つ、小太りなおっさんが火達磨になる。・・・達磨が火達磨か等と変な感想を抱いてしまった。

 俺もついでに火魔法をかけるとあっという間に消し炭になってしまった。

 能天気娘の火魔法が強くて、途中でとめても暗殺ギルドの親方を助けることが出来ない等と思って、それならばと俺は火魔法を重ね掛けしたわけではない。


 それは能天気娘の火魔法で暗殺者ギルドの親方の体が二つに分かれて、中から蜘蛛型生物が逃げ出そうとしたからだ。


 俺は蜘蛛型生物が中にいた事から、能天気二人娘の体に卵が植え付けられていないかを確認するようにジッと見たら

「嫌ね!あたいらの体に発情した‼」

等と言っている。

 本当に能天気だ‼・・・これなら卵は植え付けられてはいなさそうだ。

 部屋の中を探す前に、能天気二人娘の頭を撫でるように意識をくみ取る、どうやらこの暗殺者ギルドの親方に認識阻害の魔法で顔を分からなくされたうえに、精神的に操られていたようだ。

 妾だ右腕だというのも、精神的に操られていたからだ。・・・能天気娘は二度、自らの火魔法の反射で火達磨になり、三度目に雷神の雷で正気が戻り、この暗殺者ギルド長を見て事態を悟ったようだ。

 二人の性格は元から能天気だったようだが。


 しかし・・・能天気二人娘が火魔法を放つ前に見たこの屋敷の主は何処かで見た顔なのだ。

 暗殺者ギルドの親方の部屋の中を契約書類等の重要書類を探す。

 無ければ日記でもいいのだが。

 見栄なのか、この部屋は図書館並みに書架があり、びっしりと本が詰まっている。・・・火魔法でこれらの本が燃えなくてよかった。

 部屋の隅には机があり、読みかけの本と日記帳が置いてあった。

 一応、文章を書けるようだ。

 机の上の本や日記帳、書架の本に何があるか分からないので、それらすべて風魔法を使って魔法の袋に入れる。・・・ドンドン本が魔法の袋に入って行くのを見て能天気二人娘が驚いている。


 隣の部屋は寝室で如何にも大きなクローゼットが置かれている。

 そのクローゼットの中にはヤマト帝国の宰相服が吊り下げられていた。

 宰相の服を見て思い出した、アリサ公爵令嬢を助けに行った際に、ヤマト帝国の帝都城内で何人も並んでいた宰相の一人、皇帝から第四番目に立っていた痩せぎすな宰相だった。


 そのクローゼットの奥に扉があり、その扉の奥にも三畳間ほどの部屋があった。

 その部屋には鍵がかかった金庫があった。

 金庫の扉を土魔法の成分分析で崩してしまう。

 金庫の中から、色々な暗殺計画の依頼書の束や地方の暗殺ギルドの所在地や構成メンバーの名簿まで出てきたのだ。

 暗殺計画の依頼書はこれで使い道があるようだ。・・・フッフッフ悪い笑みが出てしまった。

 せっかく仲良くなりかけた能天気二人娘にドン引きされた。

 これで、地方にもある暗殺者ギルドを解体できる。


 まずはこの暗殺ギルドのアジトの解体だ。

 アジト内にいた全ての暗殺者を地下大広間に集めてくれたことで、他の暗殺者を探す手間が省けた。

 暗殺者集団のいる屋敷内の地下の工場のように広い大広間に行く。

 そこには俺が放った聖魔法により、暗殺の暗示をかける暗黒魔法の黒いトカゲの入れ墨を追い出されて正気に戻った暗殺者が、他の根っからの暗殺者を見張っていた。


 実は彼等の腕に彫られていた暗黒魔法の黒いトカゲを見て思いついた。

 精神感応で意識を探すついでにナノマシンのようなゴーレムを植え付けたのだ。 

 このゴーレムは黒いトカゲの入れ墨ほど悪辣なものではない。

 そいつらの位置の確認と反逆心を探るのだ。・・・いまいち暗殺者集団にいた者がいきなり俺の配下になるといっても信じられるものではない。

 無理やり暗殺者に仕立てられた者の中には、なにがしかの特技を持っている者が多い、何と俺の配下の忍者6人衆の里の者が十数人もいた。

 彼等には反抗心がなかった。・・・仕事の報酬と給金さえきっちり支払ってもらえば良いそうだ。この暗殺ギルドの親方、ギルド長は渋ちんでまともに給金や手当を支払わず、食事もとれない事があったそうだ。

 彼等には契約とこの屋敷にあった多額の金貨を渡した。

 俺の配下の忍者6人衆は抜け忍扱いだが、この金貨で有耶無耶になるそうだ。

 それに優秀な人材も集めてくれるともいう。・・・金の力は絶大だ!しかし金の切れ目が縁の切れ目にならないようにしっかりと稼がなければ。

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