第83話 文明開化

 ヒアリ国の干上がったオアシスの湖底で見つけた水の出る神殿、これは便利だ!

 同様の神殿の紋章や紋様を始めそっくりにレプリカを創(水の神様が創ったからこの漢字(感じ)だろう。)ったら水が出始めた。

 この水の神殿を水が必要な場所に穴を掘って設置したところ、池や井戸ができて水の利用ができるようになっていったのだ。

 真正カンザク王国側に広がっていた砂漠地帯が水の神殿のおかげで青々とした大穀倉地帯となっていく、将来的にはこの大穀倉地帯でできた農業製品を運ぶ運河を造ることもできるのだ。

 運河と言えば、そこを航行する船の飲料水についてだ。

 運河の水をフィルターを通して使ったことがあるが、甲殻類の小さな卵が通過してタンク内に大量発生して、その甲殻類が大きくなって食卓にあがるのは良いのだが、この世界では胃液よりも卵の方が強い、その卵を飲み込むと腹の中で急速に大人になって腹を突き破って出てくる奴もいるのだ。

 それに例の水スライムの小さな卵が通過してタンク内に水スライムが大量発生して乗員が食べられた等の悲劇が発生した。

 それで今では水魔法使いの水を使っていた。

 運河の水を取り入れなくても、水魔法使いを雇わなくても水の神殿があれば飲料に適した水が大量に出るのだから便利なものだ。・・・水魔法使いが失業したのは大変なのだが、彼等は国で雇って運河の水の管理をさせている。

 余談だが、水魔法使いの水もその人の性格が現れる。

 清らかな心の持ち主の水は澄んでおり、性格が悪くなると水が濁る。

 恨みを持つと毒を含む。・・・俺の水?当然澄んでいるよ・・・⁉

 水の神殿は陸上において便利に使える。

 水魔法を使わないでも水の神殿さえあれば王城内の高い階にある風呂に水が溜まり、生活用水にも使えるようになっていった。

 水の神殿の活用方法として、潤いの無いヒアリ国の王城の前に噴水を造った。

 しかしあまりにも実用的すぎるので・・・(また技術者集団からダメ出しが出そうなのだ。)ユリアナにニンフのような衣装を着てもらい手に壺を持たせた。

 最初は胸が見えそうだ、体のラインが見えて恥ずかしい等と言っていたが、できあがった像を見て喜んでいる。

 彼女の姿を白い大理石で写して作り、持ったその壺の中に小型の水の神殿を入れて水が出るようにしたのだ。

 これは技術者集団も納得の出来だった。・・・本物を触れないからと言ってあまりベタベタ触るなよ!アッ!キスした奴までいる‼・・・!

 ユリアナがモデル代を支払って等と言って夜中俺のベットに潜り込んで抱き付いて来た。・・・俺の方が本物相手に良い思いをしているのだが?

 他の妻達もユリアナと同じように大理石で姿を造って欲しい、それにモデル代が欲しいと言って順番にニンフのような姿になって俺の部屋に来るのだ。

 ウサギ族のルウや白愛虎までニコニコしながら俺の部屋に来て甘えるのだった。

 ヒアリ国の王城の前の噴水が華やかになった。

 この噴水のおかげでヒアリ国の王城の前も緑豊かになった。

 ヒアリ国のオアシスの湖底から発見された水の神殿から湧き出る大量な水のおかげで水がふんだんに使うことができる。

 ヒアリ国では魔獣や魔獣植物がいないので、水の流れを利用した水車を使うことが出来る。・・・他国では、水車のゴトンゴトンと単調な音に反応して魔獣や魔獣植物が集まって破壊してしまうのだ。

 水車を使えるということは、ヒアリ国内においては水力発電所を造る事が出来るということだ。

 小高い丘の上に水の神殿を作って置き、その流れ出る滝のような水を利用して水力発電所で電気を起こしてみた。・・・まだ発電された電気を使うところが少ないので、アカネが時々大電力を食べに行く、その後があり余った電力が体力いや性欲になって・・・俺瘦せそう‼

 俺達には宇宙エルフ族の知識がある。

 電気を使うことによって一気に近代的な都市国家を造り上げることも出来るようになるのだ。

 電気の恩恵はヒアリ国と真正カンザク王国との万里の長城の国境で真正カンザク王国側に入植した四人組の家族にも与えられた。

 ヒアリ国の発電された電気の電灯の明かりには魔法の付与された明かりよりも明るかったので最初は驚いていたが、特別な明り魔法の魔法が付与された照明器具だと思って今では気楽に使っている。

 何があっても魔法の器具だと思われるので、この世界の人にとっては電化を普及させることは、さほど難しくないのかもしれない。

 宇宙エルフ族の知識があるので冷蔵庫やテレビどころかパソコンまで造り上げることが出来るのだが、水洗トイレの技術、知識が全く無いのだ・・・⁉

 電化の関係でヒアリ国に技術指導を願った宇宙エルフ族の技師さんに図面で説明しながら作成できないかを尋ねたところ宇宙エルフ族の技師さんの頭に?マークがいっぱい見えた。

 宇宙エルフ族は基本的に宇宙生活者で水は貴重品なのだ、排尿も粗末にできない循環型社会をつくりあげているので、トイレは水ではなく吸引方式で集められていたのだそうだ。

 宇宙エルフ族の技師さんやドワーフ親方が率いる技術者集団によって水洗トイレが出来上がったが、宇宙エルフ族の技師さんやドワーフ親方が変な顔をしている?

 試しに使ってみたら冷たい水がお尻を洗ったので飛びあがった。

 お湯を使うと説明したら熱くて今度も飛びあがった!・・・セイラの聖魔法でお尻の火傷を治してもらった酷い目に遭った‼その後セイラが抱き付いてきて・・・良い思いが出来た。

 しかしお尻を洗うのは、人肌のお湯じゃないと駄目でしょう!

 再度改良点を伝えて造ってみたら、出来上がった水洗トイレの前で宇宙エルフ族の技師さんやドワーフ親方がドヤ顔をしていた。

 今回は良かった。・・・至福の機能だ!

 豪商の双子の兄妹も試しに使ってみた。翌日にはもう父親の豪商アブツーラが商談で俺のもとに駆け付けてきた。・・・兄弟は伝言魔獣を使ったようだ。

 インドラ連合国ばかりか他国にも豪商アブツーラの手で水洗トイレが普及していった。

 当然水が無いところは水の神殿の小型が使われているのだ。・・・問題はお湯なのだ屋根の上に水の神殿を置いて、溜まった水を太陽光の熱で温めることにした。

 水の神殿から温水や冷水が流れ出る。

 新しく普及し始めた水洗トイレには水の神殿が設置してあるので、手を合わせてから手洗いをする習慣がついた。

 俺の目論見の世界樹教ではなく水の女神様を信じる方が早く普及しそうだ。

 しかしどうしよう、手を合わせて拝んでくれるのだ、危急の一手として水の神殿の横に世界樹を飾ることにしたのだ。

 世界樹のもとに行って、何本かの苗木をもらって各国の直接統治している領内で植樹して枝を取り水の神殿の横に飾ったのだ。

 水洗トイレもそうだが、現在ヒアリ国の王城では、ルウとクリスのアンドロイドを始め、研究者としてクリフさんとクリスティーナのアンドロイドが加わって色々な課題の研究を開始し始めていた。

 電化や水洗トイレで宇宙エルフ族の技師さん達に手伝いをお願いしてから、王城の転移装置を使って時々訪ねてくるようになった。

 そのうえ士官学校の分校を王城の隣に建てたことから、士官学校の優秀な生徒も王城の転移装置を使っては研究過程などを学びに来るようになった。

 そんなこともあってヒアリ国のゴーレム&アンドロイド国家が当初の目的としていた研究都市国家に大きく変貌を遂げていった。

 ヒアリ国の研究都市国家の研究課題としては、ゴーレム&アンドロイド国家の名に恥じない新型のゴーレムの開発や、武器の製造と、馬車よりも早く走れる乗り物の開発に着手することにした。

 ゴーレムは自立思考のできる魔法生物で、新型ゴーレムの開発としては大小様々な形状をしたゴーレムの開発と、命令されたことやプログラミングされていないと行動出来ないアンドロイド等のロボットとゴーレムを融合体に出来ないかということを研究をしているのだ。

 武器の製造は宇宙エルフ族の光学兵器はエネルギーの関係でできないが、以前蜘蛛型生物が持っていた銃器、リボルバーを小型化することにした。

 蜘蛛型生物が持っていた銃器をそのまま使えるのは俺と巨人族のジャック位で、その他の者は使えないのだ。・・・普通の人がこいつを使ったら強烈な反動で腕が折れてしまう。

 またこの銃器を大型化してライフル銃どころか、口径をさらに大きくした大砲や速射砲の研究に取り組んでいる。

 小型化、大型化いずれも銃身、砲身の金属の強度や金属疲労の問題が発生しているのだが、一応銃器の小型化は順調で実用化できる段階にはいった。

 実用化したあかつきには、これら銃器を最初に巡検士部隊に持たせることにしている。

 馬車より早い乗り物としては蒸気機関車を手始めに造って走らせたが、これは魔獣や魔獣植物がいないヒアリ国だけが出来る芸当で、他国でこんなものを走らせようものなら直ぐ魔獣や魔獣植物が集まって壊されてしまう!

 そこで考えられたのがモーターの無音化と地上がだめなら地下に電車を走らせる地下鉄の構想だ。

 電気については水の神殿の力もあり、水力発電所が造り上げられて発電されているのだ。

 ヒアリ国の国境付近の現在の人口では有り余る電気があるのだ。

 これも魔獣や魔獣植物がいない事から出来る芸当であって、これを他国に導入することは今のところできない。

 他国では音のしない太陽光パネルを使った発電か、滝の裏の家のように滝の裏側に発電所を設置し音が漏れないようにしなければならない。

 音のしないと言えばモーターの無音化の問題だ。

 サンダーバードと融合したアカネと魔獣植物のアオイやその子供達と実験をしている。

 アカネは神獣との融合で、

「この世界のバランスの為に宇宙エルフ族が極端に科学技術を発展させようとすると破壊していただけで、アオイのように連続音に対して破壊衝動に駆られてやっていたものではない。」

等と言いながらも、額に汗を滴らせて無音化の実験に参加している。

「お~い、アカネさん大丈夫か⁉」

等と声を掛けたら半分涙目になって武者ぶりついて来た。

 かなり苦しくて暴れたかったようだ。

 半狂乱のように体を求めてきたのには・・・。

 これはかなり音を絞らないと駄目なようだ、道のりは長く険しい。

 地下鉄の方はサンドスネークが残した穴を使って実験研究をして実用化がはじめられるほどになっている。

 しかし、蒸気機関車を走らせるのは駄目だが馬車は問題が無いようだ。・・・⁇

 アオイに聞いたら

「そんなもの動物が引っ張っているから問題ない!」

と言われて馬鹿にされた・・・⁉

 町の中を循環的に走っていた馬車が町や村を繋ぐ駅馬車になっていった。

 定期的に馬車が走るために石畳の道路が削られてわだちが深く掘られるようになってきたのだ。

 轍ができるのを防ぐために、石畳の道路の横に木のレールが引かれて本格的な駅馬車が走るようになってきた。

 木のレールが鉄のレールに取って代わるのは直ぐだった。

 石畳の道路の隣にはレールが引かれ、駅馬車が走り、その反対側には運河が建設されていったのだ。

 目まぐるしい物流の発展と経済の発展、工業力の発展は他国には脅威であった。 またそれを支える人材の育成には力を注いでいるのだ。

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