俺、転生したの・・・前世は警察官

いのさん

第1話 転生

 俺の名前は、神室 傑(かみむろ すぐる)というⅠ県K市のK警察署B交番に勤めていた定年まじかの60歳になる警察官(巡査部長)だった。・・・・


 俺はその日目を覚ました。

 何か変だ???・・・・

 そうだ・・・確か俺は交番で勤務していて、勤務交代間近の早朝に細い鉄棒を手に持ちリュックを背負った若い男が無言のまま来所してきたのでその応対をしていた。


 俺は若い男、奴の持つ細い鉄棒の先に紙のカバーのようなものがついているのを見て嫌な予感がした。

 俺は、その予感に従って、奴と間合いをとろうと一歩下がったのだが、奴は鉄棒の先のカバーを一振りではずした。

 鉄棒の先は、やすりか何かで削ったのだろうキリのように尖っており、邪悪に輝いていた。

 若い男はその鉄棒を腰だめにしていきなり俺の腹を刺してきたのだ。


 俺は槍のように尖った鉄棒と腰だめにした動作から下腹部を刺されると思って後方に倒れながら避けようとした。

 奴はかなりこの襲撃の訓練をしていたのだろう、俺は警察官の交番勤務それで耐刃防護衣を一応着ていたのだが、その耐刃防護衣を鉄棒の先で下から跳ね上げるようにしてめくりあがらせて俺の下腹部に鉄棒を突き刺してきたのだ。

 火のような痛みが下半身を襲う。焼け火箸で刺された痛みとはこんな事をいうのだろうか?・・・


 若い男は、鉄棒で俺の下腹部を刺して倒れた俺を見ながら、背中に背負ったリュックを降ろしその中から抜身の包丁を取り出すと


「拳銃をよこせ!」


と叫びながら今度は切りかかってきた。


 俺は槍のように尖った鉄棒と腰だめにした動作から下腹部を刺されると思って後方に倒れながら避けようとしたが、若い男の拳銃奪取の執念と流れるような動作からかなりこの襲撃の訓練をしていたのだろう、下腹部を奴の鉄棒が突き刺さる。

 刺された痛みの中、肩に掛けた所轄系無線機のエマージェンシーボタンを押しながら


「B交番拳銃奪取目的で襲撃事件!」


「武器をすてろ!すてないと撃つぞ‼」


と大声をあげながら、腰のホルスターからサクラを取り出し、男の足元に向かって一発ダブルアクションで


『ダーン』


と撃つ。


 俺も律儀なものだ、命を取られそうなのに警告とは・・・・


 無駄話だが、所轄系無線機のエマージェンシーボタンを押すと、緊急の通話状態になり所轄警察署、及び交番の所轄無線機に声が流れる。

また、今回の場合のように、警察官の拳銃使用は厳格に法律で決められ、若干の改善が見られ今回のようなケースは警告が必要ない場合ではあるが、警告は犯人だけでなく、付近住民の危害防止の為にもなる。・・・閑話休題。


 奴は俺の発砲にひるむことなく包丁を振り上げて切りかかってくる。

 俺は、奴の包丁を持つ腕に向かってさらにダブルアクションで


『ダーン』


と撃つが、痛みで手元が狂う。流れ弾で他の人に怪我をさせられない。

 俺は、今度は奴の脚目掛けて


『ダーン』


と撃つが、当たらない!

 意識が飛びそうになる。このままでは拳銃を奪われる。

 拳銃を奪われるくらいならと、残りの全弾を奴の左脚に向かってダブルアクションで


『ダーン』『ダーン』


と撃つ、そのうちの一発がようやく男の左脚太腿に当たった。

 奴は持っていた包丁を投げ出して脚を抱えてうずくまる。奴は


「痛いよ・・・助けてくれ。」


等と言っているが俺の方が腹を刺されて意識が飛びそうだ。


 俺はうずくまり泣き言を言っている奴を見て腰の後ろの手錠入れから手錠を取り出して男にかけようとするが力が入らない。

 腹の傷から血が流れるように、命の灯が流れ出していく。


 そのうち、遠くからPCのサイレンの音が聞こえ近づいてくる。


 同僚が交番に慌てて入ってくる。

 若い一人の同僚が若い男を押さえて手錠をかける。

 別の同期の同僚が俺を抱きおこしながら、


「救急車を呼べ!救急車をはやく・・・‼」


と大声をあげる。

 俺はその泣き顔の同期の同僚を見ながら、意識が途切れた・・・。

 俺はその時


「死んだ。」


と思っていたが、目を覚ますことができた????


 目が覚めたことから、俺はまだ生きて病院にでも搬送されたのかと思ったのだが???


 何か変だ?


 病院独特の薬品の臭いも無ければ変に薄暗い?!


 それに天井も煤で汚れたか薄汚い!


 天井に照明器具もない!

 いやあるにはあるが、電灯器具は昔見たことがあるランプがさがっている。


 ベットも硬い!病院独特の白いシーツではなくて薄汚い布が俺に掛けられている。


 それに、俺の刺された腹が痛い・・・?

 痛くない!痛くない代わりに腹が減った。

 俺は体を起こそうとするが、起き上がれない⁉

 俺は起きあがろうと、もぞもぞしていると、俺の娘ほどの若い女が俺をのぞきこんだ。

 俺はその若い女を見て驚いた。


『外国人か⁉』


病院も人手不足で、外国人を看護師さんにするのか・・・?

 金髪で、きれいな青い目をして尖った耳をした、昔絵本で見た妖精のような美人で、可愛いその若い女は


「よし、よし、お腹が空いたのかい?」


と言って、肩から衣服を脱ぎ、きれいな形の良い乳房を見せると俺を抱きあげる・・・

 形は良いが少し・・・俺は爆乳が好きだ!!!

 ところで俺を抱きあげる!?


 俺は定年間近のおっさんで、

 剣道七段、居合道七段、杖道五段、柔道二段

の武道で鍛えた、身長180センチ、体重80キロ近くの大男なのに・・・!

その俺を赤ん坊のように抱き上げるとは・・・?


 俺が驚いていると、若い女は、形の良い乳房を俺の目の前に向かって近づけてくる。

 俺は乳房に向かって一寸待ってと手を出す。


『赤ん坊・・・!?』


俺の自分の手が、ごつく、節くれだった大きな手ではなく、プニプニした可愛い小さな手が見える!

 俺は死んだのか?

 俺は死んで転生したのか!?

若い女は


「さあ、スグルおっぱいをお飲み。」


と言って、乳房を咥えさせた。

 俺は転生したが、名前は生前と同じ


『傑・スグル』


と言うらしい。

 金髪で青い目をした若い女は、私の母親で

『奥様』または『スエコ様』

と呼ばれていた。

 混乱している俺は、まず呼吸を整え現状の状況を確認する事にした。

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