第7話 あるリーダーの話

あれからまたたくさんの話を聞いた



錯乱している私に対して村の人は優しくしてくれた



反逆者……なんて言ってはいたけれど何も変わらないただの人だった



ただ真紅の瞳をしているだけのただの人だった



ああ、そうだ



あの青年はどうしてここにいるんだろう



レイと呼ばれていた村長の青年



大人がたくさんいたにもかかわらず彼が村長の役割をしていた



彼はなぜこんなことをしているんだろう



彼の家へと戻ったけれど彼はそこにはいなかった



ただ私の仲間はみんな呆然とした表情で部屋に戻ってきていた



きっと私も同じような表情をしているんだろう



私は彼の話を聞きに行こうとみんなを誘った



みんなそれに賛同した



少年に彼の居場所を聞いてみると「きっと向こうの広場だろう」と言っていた



言われた方へと進んでいくと、吹雪の中ぽつりと佇む彼がいた



私は彼にも聞いてみた



どうしてこの場所にいるのか話してほしいと



すると彼はきょとんとした表情でこう言った



「僕の話かい?



きっとほかの人に比べてつまらない話だと思うけど



それでもいいなら」



そう言って彼はぽつぽつと語り始めた









僕が空の上に行ったのは12歳の時



翼が黄金になって虹が出てきたから空に飛んだ



別にいいことなんてしてなかったんだけど



空の上には行ったんだけど望みとかなかったし



全部の願いを叶えてもらうとかも興味なかったし



自分の願いは自分で叶えるもんでしょ



誰かに叶えてもらうなんてごめんだよ



頑張って2年くらいは我慢したんだけど無理だったみたい



だから飛び降りた



その時に周りの人たちもちょっと巻き込んでたみたい



町とかに戻る気はなかったし雪山に引きこもってたら人集まってきたから家造った



材料はいろいろあったし



そしたらリーダーみたいになったから今もリーダーやってる



僕はみんなの話全部聞いた



まあ僕なんかは大した理由ないけど他の人たちは違う



世界に従順な貴方たちにはこの村は歪でおかしなものに思えるだろうけど



たくさんの人がいた



いろんな理由があった



みんなそれぞれの意思で世界に『反逆』してるんだ



僕たちには夢の世界が夢で無くなった



いや元から夢の世界なんて無かったのかもしれないね



だから僕たちはあの夢と呼ばれる世界から飛び降りてここに来たんだ






真紅の瞳の青年はそう話を締めくくった



私はいやここにいるみんなは彼の言葉に対して返す言葉を持っていなかった



口を噤んだ私たちに彼はこう続けた






みんなを否定することは僕が許さない



みんなの生き方を否定させやしない



まあ『反逆者』に言われたって君たちにはどうということもないんだろうけど






そうだね



この村の事は忘れてこの先生きてほしい



それが僕の、この村のリーダーをしているものとしての願いだよ














ああ、でもこの村この出来事を忘れるなんてできっこない



きっとそれはみんなも思っているのだろう



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