第3話 俺の名前はカール 母が死んで俺どうなるの
魔王が出て行った。
『俺はここで十年間はまず暮らせるのか?
俺の出来る事など産まれて間もないので、何も出来ないのだが。』
等と思っていると部屋の扉が開かれ、黒髪で貫頭衣を黒色のドレス風にして着た、頭に魔王同様に羊の角が生えているが、目に険があるのが玉に瑕だが、凄い絶世の美女が入ってきた。美女はどこか栞に似ている。
「おめでとうニーナ、子供が産まれたんですって。
あら可愛い、金髪をした男の子じゃないの。
カールというの、素敵な守り刀も持っているのね。
魔法鑑定までの十年間は面倒を見てもらえるの、いい話じゃない。
我が一族に敵対するエルフ族の子がどのように育つかとても楽しみね...。」
と言うだけ言って出ていこうとした。彼女は魔王の正妻のエンマ様と言うようだ。
『魔族の閻魔のエンマ様か。』
等と思ってクスリと笑うと、部屋から出ようとしていたエンマ様がキッと俺を見て
「今、何かとても不埒なことを考えたでしょう。」
と言って俺の頬を指で突いて
「産まれたての赤ん坊が間違いよね...。」
と言って部屋から出て行った。
『危ねー、何だ、この世界は。』
しかし出て行ったエンマ様のおなかに光が見えたのが気になるが、まあいいか。
それよりもエンマ様が俺の頬を指で突きながら
「貴方は、本当はエルフ族と魔族の間の関係を良好にするため、エルフ族の族長の娘のニーナと魔族の現魔王の義理兄、前魔王とが結婚して出来た子なの。
現魔王はニーナがとても綺麗だったので、前魔王を何処かに幽閉して現魔王となって奪ったのよ。
貴方は本当は現魔王の子ではないのよ。」
とささやいたことの方が重要だ、まあいいか、これは今後の課題だ。
他に気になるのは、貫頭衣だ。布に穴をあけ頭を出すあれだ。
裁縫の技術が無いのか。
しかし、エンマ様はうまく貫頭衣をドレス風に着ているものだ。
俺が産まれてから、ニーナは体調が悪いのか乳が出ない。
それで、年嵩の女官があまり大きくない乳房を出して俺に乳を与える。
この女官は最近女の子を産んだとか言っていた。
エンマ様が、その後何度か俺のいる部屋に来てニーナを見舞っていた。
そのエンマ様のお腹がだんだん大きくなってきて、俺が産まれてから十ヶ月後、女の子を産んだ。
女の子の名前はシオリと名付けられた。
『シオリだって‼』
シオリが産まれてしばらくすると、何と母親のニーナが急死してしまった。
『俺はまだ1歳にもならないのに、ところでどうなる俺‼』
等と考えていると、エンマ様がシオリを抱えて部屋に入ってきた。
エンマ様は女官達にベットに横たわる母親の姿を見て
「棺や葬儀の準備はどうなっているの女官頭。」
「いえ、まだ王から何の指示もありません。」
「王は忙しいのよ。それでは妾が葬儀の準備を指示します。
女官頭、すぐニーナの着ていたもので、白色の一番豪華な衣装を持ってきなさい。それと、ニーナの使っていた化粧道具もお出しなさい。」
「衣装も化粧道具もありません。」
とニーナ付の女官頭が答える。
エンマ様は抱いていたシオリを俺の横に寝かせると、ついてきたエンマ様付きの女官に何事か告げる。
また、ニーナ付の女官頭に向かって
「細長い木の棒を何本か持ってきて、切る物も持って来てね。」
と告げる。
ニーナ付の女官頭の持ってきた木を使って、寝ているニーナの体の大きさにあわせて木を切らせる。
俺は
『この世界には測りが無いのか。無ければ作るか、大きくなってからだが。』
と思っていると、エンマ様が
「これで棺を作らせなさい。」
と言って、木を女官頭に持っていかせた。
俺は
『エンマ様もシオリを産んで間もないというのに無理をする。
エンマ様にとってエルフ族は敵では?』
と思っていると、俺の横に寝ていたシオリが目を覚まして大声で泣きはじめた。
エンマ様は形の良い乳房を出してシオリに乳を与える。
シオリは満足して静かになると、エンマ様はシオリを俺の横に寝かせると
「さあカール貴方もお飲みなさい。」
と言ってエンマ様の形の良い乳房で俺に乳を飲ませてくれた。俺は
『エンマ様が閻魔様でなく仏様になった。』
等と考えるとエンマ様が俺を睨んで
「今、何か不埒な事を考えたでしょう。」
と言いながら俺の頬を指で突いた。
しばらくしてエンマ様付きの女官達が持ってきたエンマ様の化粧道具で、エンマ様自らがニーナの死に化粧を施した。
エンマ様の豪華な衣装?素材が麻から絹になっただけなものに着替えさせる。
死に装束が整うとニーナ付の女官頭が部屋に棺を持って来た。
棺の中にニーナを横たえさせると、エンマ様が
「これから三日三晩ニーナの喪に服すること、葬儀は三日後に行う。
妾は、その間この部屋でニーナとカールとともに過ごす。」
と言って、シオリと俺を抱きかかえる。
三日後、魔王主催でニーナの葬儀が行われた。
魔王は葬儀が始まるとすぐ出て行ったが...。
ニーナの葬儀、火葬後エンマ様が
「九年後、カールの魔法鑑定の日まで妾の子として育てる。」
と宣言する。エンマ様が俺の養い親になった。
俺はエンマ様に抱かれて、城の離れの一室から城内で一際大き部屋に連れていかれた。
大きいだけで豪華さが無い、部屋の中には絵画等の美術品がない、タペストリーのようなものも下げられていないのだ。
衣装は絹が豪華だといわれる貫頭衣。
将来、絵画等の美術の発展が必要だ。
衣装についても前にも思ったが貫頭衣で色が黒か白色。刺繍や裁縫技術、染色技術も発達させなければならないと思う。
俺はシオリの隣のベットに寝かされた。
ニーナ付の女官達は一応俺付の女官となってエンマ様の部屋で働くことになった。
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