投資家本格デビュー!「グーッと自分と向き合うと、ほら“自分”が見えてきたよ!」…って、なんか胡散臭くて安っぽいSNSみたいだな(笑)

「上がれ!」と、思わず叫んでしまう。銘柄を買った瞬間、一気に下げたからだ。いくら叫んでも株価が上がらないことは、当の本人である相葉聡太あいば そうた自身が一番理解していた。そして、損切りをする。


相葉が株をいじり始めたのは小学生の時。それから会社員の20代を経て、30代で専業に至る今まで、相場はずっと観察し続けている。株式投資を始めた頃は、連戦連勝だった。といっても、資金はお年玉やお小遣いを集めた程度のものだったが。


勝ち続けることができたか理由は、「TVゲーム株のみのトレード」。TVゲームについての情報は、インターネットが無かった当時、週間のゲーム雑誌などを見ながら、友達たちと噂話をしながら盛り上がっている子どもたちの方が、詳しかったからだ。さらに、当時は投資をしている大人たちはゲーム株を「水モノ的」と敬遠したので、やりやすかったことも大きい。少年ならではの“エッジ”(自分にしかない強み)を活かしていたと言える。


成績が落ちてきたな、と感じだしたのは、20代を迎えた頃から。しかし勉強もあれば卒論もあり、サークル活動や、就職兆氷河期ど真ん中という“しんどめの就職活動”もあり、株どころでは無かった。会社員時代もしかりだ。しかし、今は「株式投資」で利益を出さなければならない。


「資金効率を考えると、信用取引なんだけどな…」と相葉は一人ごちる。信用取引とは、元手資金の3倍をトレードすることができる仕組み。利益は大きいが、当然のことながら損をした時も数字が大きくなる。それまで相葉が手掛けていたのは“現物”と言われる元手資金を使った取引のみだった。


これまでは「趣味程度」で株式投資をやっていたので知識やノウハウはあったが、本格的に挑むのはこれが初めて。


相葉、31歳の投資家デビューだった。




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