キノコ

 無認可の山へキノコ狩りに行った。所有者の身内らしき若い女と出会う。返答は年の割りには幼く、片足を少し引きずっていた。迷っていた所を保護したと誤魔化そう。所有者はどんな偏屈な老爺かと思えば、女と同世代か少し上くらいの美青年。物腰柔らかに嗜めるのみで、二人暮らしだから食べきれないとお裾分けしてくれた。

 ――都内で複数の有毒キノコによる中毒者が出た。揃いも揃って元々素行が悪いと有名で、自業自得で片付けられた。


「美味しい?」

「ん」


 はふはふとキノコのアヒージョを堪能する妻に、美青年は幸せそうに微笑んだ。

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