Ally-31:自業なる★ARAI(あるいは、I′veと/先の見えない交錯点)
「くりすてぃあぁのうぇいんうぇいんつあんじぇりかはぁぁぁぁぉぉぉぉんッ!!」
結局のところ。
妙なシリアス味を出しつつ、ソファにその巨体を押し込めるようにしつつも斜に構えて殊更に外連味たっぷりに放った「コンビニおにぎりを食べる時に毎回失敗して海苔破いてしまうから後ろのシールを全部丁寧に剥がして米・海苔・
「……」
その、噛ませ犬よりも噛ませてきた戦慄の犬死感に、残る我ら三人は言葉も表情も失くしたまま、特に僕なんかは意識しないと満足に呼吸すら出来ないくらいにまで精神が追い込まれているけれども。
「……棄権って手もありにしてもいいわよぉん……プラス、ジロちゃんを差し出せばテレビも一万で譲るっていう、破格な条件にも変えてしまおうかしらぁん……どのみちこの『勝負』、一筋縄ではいかないこと、よくお分かりになっただろうしぃ……」
ジョリーヌさんの野太い声がよりいっそうの粘りを有してきた……ッ!! というかそれだったら僕とテレビの(ほぼ)等価交換ってことになるじゃないか……そんなにも僕という人間をどげんかせんとあかんのですかぁぁぁぁッ!!
「う、うにゃ。あくまで
体の内面に全反響するほどの慟哭をかましていた僕とは正反対に、アライくんはメイド服の袖口をからげながら、腕組みしてそう静かに言葉を紡いでいくのだけれど。
「……我ぁが、次行くじゃじ」
そしてそんなシリアス風味の低音のしゃがれいい声でのたまってくる……いや、シリアスが死亡フラグだってことをそろそろ学習した方がよろしいのでは……いや、そんなことを思っている場合じゃあない。
「ぼ、僕が行くよ」
気付いた時には、ゆっくりと息を吸い込んでから、そんな言葉を息と共に吐き出していた僕がいたわけで。自分でも驚きで、自分でもよく咀嚼できていない感情だったけれど、何か、ここでアライくんに委ねてしまったら、僕の男がすたるような、そんな意味不明の思いが押し寄せてきていた。
とか思ってたら、あ、どうぞどうぞ、と瞬速の譲られをされたわけで。もうちょっと、じゃあ俺が/じゃあ俺がとかやるでしょうよ?
とかも、思っている場合じゃあない。
「『二つ、団員は団長の求めに応じて、持ちうる力を惜しみなく供出すること』……団長と副団長に、こんな危険なことをやらせるわけにはいかないよ……いち書記としてね」
あ、やばい自分で言うといて僕も何だかんだでシリアス感を出しちゃってるよ、リラックスリラックス……大したことないんだ、と必死で思い込もうとする僕。
刹那だった。
「ば、
落ち着け。落ち着くんだ。
む、無理しないでジローくん、12万だったら私の貯金で何とかできるから……との
大丈夫、とその大丈夫たる根拠の無さ具合に、発した自分の方が慄いてしまうほどの言葉を乾いた唇から放ち、悶絶状態の猿人氏を床にズルズルズゴッ、と降ろしたところで僕は改めて宣言する。
「次はこの僕がぁッ!! 『対局』つかまつります……」
よく分からない言葉になってしまったけど、うぅん、キズものになってもアレなんだけどそうなったらやさしく治療してア・ゲ・ル、との全・毛穴が浮き上がりそうな言の葉を返されるに終わる。ともかく。
「……」
着席と共に例の拘束具が僕の右手首と両足首を固定してくるけれどビビるな。終わらすッ!! この非日常の最奥に潜んでいたさらにの非日常という名の
かつてない気合いを汗ばんできた皮膚の内側に漲らせながら、対局開始の合図をただひたすらに待つばかりの僕がいる。
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