Get over it.

心寧

第1話 Guardian

紫煙が部屋の天井にむけ糸のように立ち上る。



部屋の中には、ソファーに座る5人の男女が座っている。


紫煙をくゆらせる金髪、漫画を読む赤髪、スマホをいじる長髪

バイク雑誌を見る銀髪、小説片手にコーヒーを飲む黒髪の女

床では、クッションをひいてゲームをする茶髪


皆、思い思いに好きなことをし、時々会話が聞こえる



「こんにちは!皆さん、キョウく~ん!」


部屋の扉が開くと同時に可愛い声と共に女の子が飛び込んできた。


美乃里ミノリ、おいで。」


呼んだのは先程まで紫煙をくゆらせていた金髪の男、春日井 響カスガイ キョウ


美乃里は、響の声にニコッとしながら、響の隣にこそかけ腕を絡めた


そこからは、美乃里が楽しそうに会話をはじめ、皆が笑顔で聞いていた




「私、そろそろ帰るね」


小説を読んでいた女が声を発した。



「え~、アキラちゃん帰るんだ~、残念。

 じゃあ、またね、バイバイ!」


「美乃里、バイバイ」


玲はニッコリと微笑みながら部屋を出た。



部屋の中では、楽しそうに会話が続いていた。


部屋を出て階段を降りると、一階には30人程が思い思いに過ごしていた。


バイクや車をいじるもの、稽古をつけるもの、ゲームをするもの・・・


「玲さんお帰りですか?」


私達の姿を見て下にいた子が声を掛けてきた


「うん、じゃあね。」


手を軽く上げてその場を通り過ぎる。



_____『ガーディアン』


多くの不良が集まるチーム。


この繁華街を裏で治める春日井カスガイ組をバックに繁華街の揉め事や

本職では手が出せない一般を締めているのが『ガーディアン』


そして、トップの響は、春日井組トップの息子だ。



この地域でのガーディアンの人気は高い


ドラッグ、恐喝、レイプ・・そんな事とは無縁の割とクリーンなチームな上に

メンバー、特に幹部はかなりのイケメン揃いだ。



トップの春日井 響カスガイ キョウ

 天城学園2年 185㎝の長身に細身の身体、金髪で切れ長の目

 眉目秀麗の上、財力、地位もある

 春日井組の跡取り息子


№2の堺 朝陽サカイ アサヒ

 天城学園3年  183㎝ ブルーグレーの髪色

 一重の鋭い目は冷徹さを滲ませるが、そこがクールで良いらしい

 春日井組 組長側近 堺雄吾の息子であり、響の側近


情報管理 藍沢 樹アイザワ イツキ

 天城学園2年  178㎝ 黒髪の長髪を後ろで一つに束ねている

 ハーフリムのメガネをかけ、腹黒


幹部 結城 類ユウキ ルイ

 天城学園1年  170㎝ カフェオレベージュのツーブロックマッシュ

 女の子のように可愛い顔  ゲーム好き


幹部 村上 律ムラカミ リツ

 天城学園2年  180㎝ ローズレッドのソフトモヒカン

 喧嘩好き ワイルドな雰囲気





私とガーディアンの出会いは3月のこと


私は、母子家庭で裕福ではないが二人仲良く暮らしていた。


だが、私が中2の時母が再婚することになった、私は母の幸せを願い賛成

した。



義父は建設会社の社長で義妹は1つ下の中1だった。


初めは良かったのだ・・・だが、それは長くは続かなかった。


義妹は甘やかされて育ったため、我儘お姫様のような状態で何でも自分

が一番でなければイヤがった。


私に対抗意識を燃やす義妹に母は段々と私に辛く当たるようになった。


私が中3になった頃には、家には居場所がなくなった。


そんなこともあり、高校は家から離れたところを受験すると、両親は

家から追い出せるとばかりに賛成し、ワンルームの部屋が用意された。



引っ越しも終わり買い物をしているといつの間にか夜になっていて、

周りはギラギラ輝くネオンの街になっていた。


早く帰ろうとしていた時、男に絡まれ、揉み合っているうちに殴られた。


それを助けてくれたのが、響と朝陽だった。


響は私をガーディアンのBarに運び手当をした後


「お前、ひとりだろ。だったらここに顔を出せ。仲間になればいい」


私の様子を見ていて何か思う所があったのかもしれない。


私は言葉に涙を我慢しながら頷いた。



あれから早いもので、もうすぐ一年になろうとしていた。



家族にも見放され、淋しかった私の心に響をはじめとした、

ガーディアンの皆は暖かかった。


見た目がかなり地味な上に、口数の少ない私を仲間として皆が

受け入れてくれていた。


一般には不良と呼ばれる彼等だが、私は決してそう思わなかった。



気がつけば、仲間として毎日のようにガーディアンのBarに足を運び

皆と他愛もない会話をして、家に帰るのが日常となっていた。



だが、一度外に出ればよい事ばかりではなくて、私がガーディアンと

一緒にいる事をよく思わない人達もいるわけで・・・。


特に女。


この地域では圧倒的な人気のガーディアンに憧れる女は多い。


私はただの仲間なのだが、今まで女が仲間になることは無かったようで

妬み、嫉妬がらみのちょっかいを受ける。


陰でコソコソ話すなんて可愛いものだ、直接怒鳴り散らす女もいれば

手を上げる女もいる。


だけど・・・


そんな事をされても、彼等から離れようとは思えなかった。



何故なら、そこが私の唯一の居場所だったから。





 

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