川原さんと僕
ムネミツ
川原さんと僕
「この湖、河童が住んでるって昔話があるのか」
2020年の夏、僕は父の田舎の村に遊びに来ていた。
東京ではできない事をしようと思った僕は、湖に行きボートを
借りて漕ぎ出した。
ペットボトルのソフトドリンクも買ったし濡れたタオルもある。
田舎の暑さを舐めていた僕は湖の中心まで辿り着いた所で暑さにやられて
ボートから湖へ転げ落ちた。
「待ってて、今助けるから!」
そんな声が聞こえた気がして、僕は意識を失った。
気が付くと、僕を黒い競泳水着を着た日焼けしたおかっぱ頭の女の子が
覗いていた僕は岸に戻って来れたらしい。
「あ、気が付いた! 良かった~♪」
女の子が安堵する。
「……えっと、ありがとう」
僕はまず先にお礼を言った。
「どういたしまして、私は
川原さんが僕の名前を訪ねて来たので僕は名乗った。
「ああ、お向かいさん所の子か、久しぶり♪」
どうやら川原さんは、僕が泊っている祖父母の家の向かいの子らしい。
「え~っと、雑貨屋さんの子?」
僕が尋ねるとそうだよと答える川原さん、そう言えば昔遊びに来た時に彼女や近所の子達と遊んだ気がする。
「でも都会の子って、本当に変な事するよねこんな日にボート乗るなんて
駄目だよ! 自殺行為だから!」
僕がボートに乗って倒れたことを怒る川原さん、彼女が僕を助けてボートも
岸まで運んでくれたらしい。
「私、水泳部で体力あるから♪ 相撲も強いよ♪」
腕を曲げて力こぶを作る川原さん、女の子だけど凄かった。
「あ~! ●●君、私の子と馬鹿力とか思ったでしょ!」
何かに気づき僕を問い詰めてくる川原さん。
「え! 思ってないよ、川原さんの水着姿とか思い出してないって!」
咄嗟にさらにヤバい事を口走る僕。
「ちょ、そっちの方が変態! スケベ!」
顔を赤くして怒る川原さん、僕は謝った。
「ごめん、アイスおごるから許して!」
僕にできる謝罪なんてこれくらいだった。
「しょうがないなあ、都会の子もうちの男子も変わらないじゃん」
何とか怒りを収めてくれる川原さん、中学生の男子なんてどこも同じだと僕
も思った。
僕の服も乾き彼女も水着からTシャツとジーンズに着替えて一緒に帰る事にした。
その後、家に帰った僕が家族に怒られて祖父が川原さんの家にお礼の酒を持って行く事になる。
そんな僕と川原さんの再会があった次の日は、村祭りの日だった。
「あ、●●君だ♪ じゃ~ん♪ 浴衣、可愛いでしょう♪」
ピンクに黄色い帯の浴衣姿を披露する川原さん。
「うん、可愛いよ♪」
見惚れながら素直に答える僕、この時点で僕は彼女に恋に落ちたのを自覚した。
「……あ、ありがとう」
川原さんも褒められなれていのか照れていた。
そして夜、祖父母の家を訪ねて来た川原さんに僕は祭りへと誘われた。
「●●君、一緒にお祭り行こう♪」
そのお誘いに僕は頷き二人で神社へと出かけた。
縁日の屋台が並ぶ神社、僕達は綿あめやりんご飴にタコ焼きと色気より食い気
と言う具合で遊んで行った。
そして、礼儀として僕達二人は神社でお参りをした。
僕の願いは、川原さんと付き合いたいので勇気を下さいだった。
お参りの後、神社の脇で僕は川原さんに勇気を出して尋ねた。
「川原さん! 僕、来週で帰るけどLINEの交換お願いします!」
これが、僕が出せた精いっぱいの勇気だった。
「……え! あ、あんまり返信できないかもだけどそれでもいい?」
川原さんは突然言われて驚いたが、OKしてくれて僕らはお互いの連絡先を
登録した。
2020年の夏、僕の恋はここから始まる。
川原さんと僕 ムネミツ @yukinosita
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