見習い魔法使いと幸運を呼ぶ白猫
星塚莉乃
プロローグ この世界の成り立ちについて
ここはいったい何処だろう? こんな所に来たことがないからよく分からない。歩いていけばここはどこなのか分かるだろうか。
辺りは闇に包まれている。そこに一筋の光の道が出来ていて、その道は人ひとり分しか歩けない。その道を歩いていくと少し開けた場所に出てそこに一人のシルクハットを被った男性がいた。誰だろうと疑問に思っているとその男性はこちらに気づき話しかけてきた。
「おや? 珍しいお客さんだね。ここに人が来るなんて思わなかったよ。もしかして驚かせたかな? ごめんね。驚かせたお詫びに私とお話しませんか?」
迷い込んだ誰かが頷くとその彼はこんな問いかけをした。
「まずこの世界の成り立ちから説明しようか。君は知っているかい? まあ知っていなくてもこの情報はきっとこれから役に立つから知らなくても大丈夫だ。まず、一般的に知られていることから話そうか」
そう誰かに向けて彼は語り始めた。
「この世界は5つの世界で成り立っているんだ。1つはスフィナヴェール、2つ目はルヴィナクロス、3つ目レヴィナラルーカ、4つ目スノーフォリア、5つ目はレイヴンルース。
それぞれの説明を簡潔にまとめると
先程言った1つ目の世界は魔法は存在するが生活で使用する以外には政府の許可が必要。
2つ目の世界は魔法は存在せず全て月の光によって生活が成り立っている。
3つ目の世界は海の底にあり魔法も存在するが使用されることが少なく水の力を利用し人々は生活をしている。
4つ目の世界はこの世界はその名の通り森の真ん中に街があり人々は木を多用して生活を送っている。
5つ目の世界は魔法が存在し全てのものは魔法により動かされている。しかし、これを知っている人は少ない。
まあざっとこんな感じだ! え? 説明が長い? だけどこれで一般的なことは伝えたよ」
そう言うと彼は深く腰掛け、いつの間にかその手にはカップが握られており、紅茶を楽しんでいた。そして紅茶を飲み終えると不敵な笑みを称え語り始めた。
「次に話すことはあまり知られていない話だよ。君は知っているだろうか? ある国に魔法がないのにはこんな事情がある」
そう深刻そうな表情を浮かべ告げた。
「現在は分かれているが以前は5つの国の王達は仲が良かったため森で繋がっていたんだ。だから行き来も自由だったんだけど……とある国で起こった紛争により5つの世界が分かれるきっかけとなってしまった。その紛争はルヴィナクロスで起こったもので原因は魔法だ。
現在、ルヴィナクロスにだけ魔法は存在しないけど以前は魔法が存在していた。けれどレイヴンルースの王によって、魔法が封印されてしまったんだ! 本当困っちゃうよね……まあその現状に対して、2つ目の世界の王が抗議し解除を要請したのだが5つ目の世界の王が取り合わなかったため大きな紛争が起こった。
その現状を打開しようとそれぞれの国の王達はレイヴンルースの王に申告したんだけど、王は態度を改めず頑なに首を振らなかったため紛争が始まってしまった。
そのため、紛争の影響が及ばないように王達は結界を張るしかなかった。その状態が現在に至るまで続いているという訳だ!」
彼は語り疲れたのかそしていつの間にか丸い机が出ていて今度はコーヒーを片手に優雅に飲んでいた。そしてまた話を続けた。
「各国の森には名前があり、スフィナヴェールは光の森、ルヴィナクロスは月の森、レヴィナラルーカは雨の森、スノーフォリアは雪の森、レイヴンルースは闇の森である。それぞれの森は精霊の管理下にあり、精霊たちはなぜか仲がいいんだ……人間たちも仲良くなればいいのにね。やっと話し終えたよ」
そして彼はふと思い出したかのように言葉を紡いだ。
「そういえばここに来る途中で猫が逃げていたような……まあいいか。スノーフォリアとレイヴンルースでなんだか波乱の予感がするよ……そうだ! こんな噂を聞いたことない? レイヴンルースには幸運の白猫がいるらしいよ? その猫と契約を交わしたものは……何だっけな? 忘れてしまったよ。まあ君はいずれ知ることになるよ! さて僕はそろそろ行くとしようか。物語もそろそろ幕が上がりそうだしね! え? 名前を聞いていない? 僕の名前はまだ言えないよ……君に会えるのを楽しみにしているよ」
そう楽しげに伝えると彼は来た時同様に突然姿を消した。
今、物語の幕が上がる。これから猫がどんな物語を紡いでいくのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます