幼馴染みを守るために俺は再び魔王を目指す
レン-kon(4月30日まで更新不可)
無適合者と魔王の才
第1話
「はぁぁぁぁッ!!!!!!」
「アイスブロック」
ドサッ
「ははッ、やっぱりティアは強いな」
「何言ってるのよ...カイが弱いだけじゃない」
「まぁ俺には魔法の才能はないからなぁ」
....この世界は平等じゃない
「剣の才能はそこそこあるのに魔法が使えないんじゃね...」
それに気付いたのは何時だったか
「それが僕の運命だったんなら仕方ないよ。まぁでも、やれるだけのことはやってみたいからね」
「もうっ、ほどほどに頑張って帰ってきてね」
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六年前
俺は適性魔法のテストに来ていた。
この国では七歳になれば適性魔法がどんな魔法かどうか検査しないといけなくなる。
俺は腕に魔道具をはめ、ワクワクしながらテストを受けていた。
「ん?」
「これは...」
....結果は無だった。何も表示されなかったのだ。魔道具の故障も疑われたが、どんな魔道具で検査をしても、結果は無だった。
俺、カイン・アリストリアには、生まれながらにして適性がなかった。
前例は無いそうだ。
俺は身寄りが無かった。体の弱かった母親は出産のショックで亡くなり、父親は腕利きの冒険者だったため王国に徴兵され、俺が5歳の時に聖剣大戦で命を落とした。
俺は幼馴染みのいるステラフォート家に引き取られて生活をしていた。
「...ごめんなさい.....ごめんなさいファルおばさん。俺、たくさん親孝行するって言ったのに...ぐすっ...ごめんなざぃ...」
「何言ってんの。魔法の適性がないからって、頭も良いし剣の扱いも上手いし、家族思いの良い子なんだから生きてるだけで親孝行だよ。」
「でも、ティアはあの氷魔法にも適性があって...すごいのに...」
ティナに適性があった氷魔法は攻撃にも防御にも使える。そしてその威力は通常の魔法とは比べ物にならない位に高く、かつてこの氷魔法で賢者が冥界の使徒を封じ込めた実績もある。
しかし、それを発現させることができる者は数少ない。
「うーん。じゃあ、ティアにも負けないその剣を頑張ってティアを守れるくらいになれば良いんじゃない?」
「....うん、俺、絶対強くなってティアを守るよ!」
この日、俺は強くなると心に決めたのであった。
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_現在
「1497、1498、1499、1500!」
今は、もともと才能のあった剣の練習を毎日欠かさず行い、そして騎士団に入ろうと思っている。
今にして思うと、あの時のおばさんの言葉は失意の中にいた俺を落ち着かせる為の言葉だったのだろうが、俺は今もその言葉を胸に置いている。ただ、昔と違いティアは俺なんか目じゃない位に魔法の素質があって俺はいま隣に居るために剣の練習をしている。
負けず嫌いなところがあるから守るとか言われても嫌だろう。
騎士団に入れば毎日質の高い訓練を受けられる。そして絶対に俺は強くなるんだ!
「ただいまー」
「おかえりなさい」
「おかえりー」
「あ、そうそう。明日は勇者様がこの村に来る日だから「ゆっ勇者様!?」
勇者様といえば、この国の最上位の実力を持った人たちのことだ。勇者様達は魔法適性が異常な位に高く、剣術の才にも恵まれており、国でもかなりの地位にいる。その勇者様がなんでこんな辺境に....
「まぁまぁ落ち着いて...私も詳しくは知らないから。取り敢えず明日は一張羅を来ていくんだよ?」
「うん。....ん?」
「どうしたの?」
何故か胸が苦しい
「いや、なんか嫌な感じがしただけだよ」
「ふーん」
「まぁ今日はもう寝なさい。明日は色々準備しないといけないから」
「「わかったー」」
俺は嫌な感じを胸の中に抱えながら夜を過ごした。
この後地獄を見ることになるとは知らずに...
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