第202話 温泉での再会
はー、やはり温泉は最高だ。
三日目にもなると、メンバーも慣れてもので各々好きなタイミングで好きな時に入っているのであまり被ることは無くなった。
…筈だったのだが、なぜかサナティとセツナがやって来るのだった。
「ふふふ、また会いましたね」
「ユート殿…お持ちなのだろう?」
「ったく、狙いはそれか!というか、自分で頼んで持ってくればいいだろ!?」
今回も持ってきた米酒を狙っていたようで、ちゃんとグラスを持ってきていた。
サナティは同じルームに泊まっているから、出ていくときにバレバレになるらしいな。
でも、わざわざセツナを呼びに行くあたり、意外と二人の仲が良くなっていたみたいだ。
「案外二人の気が合うのな」
「ええ、セツナさんにユートさんの国の話を色々と聞かせてもらっているうちに意気投合しまして」
「そうそう、私もサナティにこちらの世界について、色々と教えてもらっているんだ。知らない事が多くて凄く為になるぞ?ユート殿にも今度教えてあげよう」
「おー、それはありがたいな。こっちの世界の常識とか分からない事が多いかもしれないしな」
そういうと、すすっとセツナが近づいて耳打ちした。
「例えばこの世界はな、…ある程度の地位と経済力があれば一夫多妻が許されているらしいぞ?」
マジかっ!?って思わず反応してしまうが、いやいや何を考えてるんだ俺は。
でも普通に考えたら、それって貴族や王族の事なんだろうな。
ただ俺も一般人から見たら十分に裕福なわけで、資格があるかも…っていやいやそういう事じゃないだろう?!
そんな葛藤を見てとってか、セツナがその張りのある豊かな膨らみを押し付けてくる。
「私はな、お前ならいいと思っているんだぞ…?」
あのー、当たってますけど…。
「あ、セツナさん。抜け駆けはズルイです!」
と反対側の腕を取り抱き着いてくるサナティ。
その二つの柔らかな膨らみに包まれる俺の腕。
これ以上ここにいたら、俺の理性が吹き飛びそうだ。
「すとーっぷ!」
そう、思っていたらいつの間にか来ていたリンが空からダイブしてきた。
ドボーンッ!と豪快な音を立てて飛び込んできたリンに驚いて俺での腕を放した二人と俺の間にリンが入り込みビシッと!音がしそうな勢いで二人に目掛けて指を指した。
「私の許可なく、パパを誘惑をするのは禁止なんだからっ!」
プンスコ!と聞こえてしまいそうなほどご立腹なリン。
うん、別にリンの許可があればしていいのかは疑問なんだが。
問題はそこじゃないと思うんだ。
しかし、リンの勢いに負けた二人はついに…噴出して笑うのだった。
「はいはい、冗談、冗談だよリン。ちょっとした悪戯だよー」
「ふふふ、リンちゃんは可愛いのね。大丈夫、パパは取らないからね?それとも、リンちゃんも一緒に…」
そういうサナティにパチュンと音を立ててデコピンをお見舞いした。
「いくらサナティでも、リンにそういう事いって
「ううっ、いたいですユートさん。 ふふ、本当の親子みたいですね、少し羨ましいです。…でも、ユートさんの事は冗談じゃないですよ?」
「はいはい、もうこんなおっさん揶揄ってないで明日に備えてくれよ?」
そう言って、残っていたお酒を飲み干してから先に上がることにした。
上がる前にリンに小声で『助かったよ、ありがとうな」と言うと照れた顔でえへへと顔を緩めていた。
うん、可愛い。
なんだこの可愛い生き物!!
俺の目が黒いうちは、この子に手を出させまい!
と若干、親馬鹿を拗らせかけていた。
(しかし、俺らは元の世界に帰れるのだろうか?というか、もうこの世界の人間として生まれているとか言ってたし、別の人間としての人生も考えないといけないかも知れないな…)
そんな事を漠然と考えながら、明日の事に頭を切り替えて温泉から上がるのだった。
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【おまけ】
ユートが居なくなった後、女子3人でこんな話をしたとかしないとか…。
「もう、セツナさんもサナティさんも油断も隙も無いんだから!」
「はいはい、でもね私が新しいお母さんじゃダメかしら?」
「え、サナティさんがパパと結婚するの?」
「も・し・もの話よ?でもね、この世界の男性は、実力者なら沢山の奥さんを迎えて沢山の人を幸せにする責務があるのよ。だからそのうちユートさんも、たくさん奥さんを迎えないといけないの」
「え、じゃあパパは結婚しているけど、また結婚しないといけないってこと?」
「そうよ、だからその時にはね立候補しようと思うのよ。ダメかしら?」
「うーんうーん、サナティさんは綺麗だし、パパをいっぱい助けてくれるし…ダメじゃないけど…あ、そしたら!」
「うん、そしたら?」
「私がパパの新しいお嫁さんになる!」
「「えええっ!?やっぱ、恐ろしい子!」」
おわり
※おまけは本編とは直接関係ありません。
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