第139話 再戦、幻龍イドラ!
ガガノア達は、
カルマ達は、中で待機するので一緒についてきている。
俺らが結界内に入り、祭壇の近くまで来るとまたアノ声があたりに響いた。
『…来たか!数年ぶりの遊び相手…そうそうに諦められては興醒めだったからな、嬉しく思うぞ』
"幻龍"のイドラは、すっかり俺の事を暇つぶしの遊び相手くらいにしか認識していないようだ。
能力差を考えれば仕方ないかも知れない。
だが…、今日の俺は昨日とは一味違うことを分からせてやる!
「その余裕、いつまでも続くと思うなよ?天の加護を我に!〈天啓〉!」
先ずは、すぐにステータスアップスキルを、発動。
「〈
そして、今朝から鍛えてたスキルを発動する。
蝶のような羽の生えた小さな精霊=妖精達が俺を中心に辺りに分散していく。
すると、あたりの地形やそこに居る者たちの位置情報が頭の中に流れてきて誰がどこにいるか手に取るように分かった。
よし、まずは上手くいっているようだな。
『何やら小細工をしているようだが、無駄だぞ?その羽虫程度では、我を倒すことは出来まいよ!』
そう言いつつ、イドラはフワッと消えた。
さぁ、ここからが勝負だ!
「〈
俺の周りにバリアを張った。
それと同時に、妖精達を動かしておく。
イドラは気が付いていないが、俺の放った妖精はバッチリその姿を捉えていた。
場所を把握してしまえばなんてこともない。
最初は少し射線をずらしておいて撃ち放った!
「喰らえっ!〈
ズレた方向に撃ったと思っているイドラの意表を突くように、ぐぐっと軌道を曲げてイドラのいる方向へ飛ぶ矢は、回避し損なったイドラに見事直撃した!
遠くで、があっ!と呻く声が聞こえた。
「おっし、狙い通りいったな。さぁ、どんどん行くぞ!煌めけ、アークレイ!そして穿け、ライトニング!捉えろ、スタンフィールド!!」
光、雷、土魔法の三連コンボで追撃する。
スタンフィールドで足を捉えられたイドラは、その場で尻餅をついた。
『グハッ、マグレにしても、なかなかにやりおるな!こちらからも行くぞ!』
すると、さっきまでいた場所から瞬時に居なくなった。
そして、違う妖精がいる場所でその姿を捉えた。
「な、なんだ?!ワープしたのかっ??」
『な、貴様…なぜ解った!だが、遅いわっ!』
ブウウンッと轟音を立てて、拳の形をした闘気が襲いかかってくる。
なるほど、これは幻覚を利用した闘気攻撃みたいなものか。
ならば、防げる!
「うおおりゃあ!〈錬気盾〉《オーラシールド》!」
それでも、押されるほどの凄まじい威力だ。
「うぐぐぐぐ…っうりゃぁっっ!!」
渾身の力を込めて耐えて、ついには弾き返した。
『なんと。それを正面から打ち返すか。くっくっく、面白いやつだ。さて、まだまだここからだぞ?』
余裕の顔のイドラ。
だが、こちらにとってもこっから本番だっ!
「〈魔導の極致〉発動、連なれ我が魔法よ!ホーリープリズンフィールド!フレア!スターバースト!」
姿を表したイドラを、すかさず神聖魔法で
ゴオアッ!!ズゴゴオーーンッ!と魔法が炸裂した。
そして、その程度では俺も手を緩めない。
「穿け!〈
三連でイドラの胴体を狙って撃ち込む。
もちろん、爆と聖の属性付きだ。
着弾と同時にイドラの身体が爆ぜた。
さらに、重ねて魔法を撃ち込む。
「インフェルノ!アースクエイク!メテオシュート!」
高位魔法を連続で撃ち込む。
昨日迄は出来なかった荒業を、たった一つのスキルで実現可能になったのだ。
カルマの修行が無ければ知る事も無かったので、先生様々である。
グオオオオッ!と苦しそうな呻き声が聞こえてきた。
流石のイドラも、かなり効いているようだ。
もうもうと上がる煙の中から、ボロボロになったイドラが現れた。
ここまでで、HPが半分近く減っていた。
逆に言えば、あれだけやってもまだ半分もHPが残っているのだ、本物の化け物である。
『がはっ、はぁはぁ。…クックック。ここまで我を追い込んだのはかの勇者以来か?お前、なかなかやるではないか』
見た目は満身創痍ながらも、楽しそうに言うイドラ。
え、反応がちょっと変態っぽくて嫌だなー。
『違うわっ!何を変な事を考えておるのだ!』
うわっ、心を読まれた。
プライバシーの侵害なので辞めてほしいもんだ。
『全く!久々に熱い戦いが出来て喜ばしい気持ちに水を差しおって。しかし、我はまだまだこれでは倒れんぞ?』
まぁ、言われなくても分かっているので、当然次の手は考えている。
「【竜玉】よ、その力を示せ!〈
ここまで弱らせたなら効くはずだ!
このスキルを使うと、対象の竜族を弱体化しさらにテイムがしやすくなる。
『な、なんだ?…力が抜けていく?』
よし、効いた!
ならばここで畳み掛ける!
「断ち切れ!〈
冷静に傍から見たら、おっさんがかけ声をつけながら攻撃しているとか噴飯ものだが、言霊を載せると付与する魔力が上がり威力が増すんだからしょうが無い。
こちとら大真面目である。
ズシャァァァッと双剣で真横に切り裂き、更に振り向きざまに滅多切りにする。
オマケとばかりに、近距離から魔法をこれでもかと撃ち込んだ。
「フレア!ライトニングボルト!スターバースト!!!」
火、雷、星属性の高位魔法を至近距離から直撃されイドラは吹き飛んだ。
まだ、燃えたままのイドラを追いかけてさらに双剣で追撃する。
イドラも、負傷しながらもシャドウジャベリンやアクアブラストなどの魔法を撃ってくるも、〈攻撃予測〉により完全に回避してみせた。
『な、なんなのだお前は。昨日とは別人ではないかっ!くそっ、油断したつもりは無かったが、甘く見すぎていたか?!』
空中で体勢を立て直し、追撃してきたユートを拳で迎撃する。
しかし、その反撃すらもするりと抜けられて、双剣を脇腹に深々と突き刺された。
『ゴボァっ、グ…ガハッ…』
遂にイドラは立っていられなくなり、その場に崩れ落ちた。
『なんだと…我が、ただの人間如きに負けたのか…?いくら、【竜玉】を手にした人間とはいえ、こんな事が…!』
何とか顔だけあげて、ユートを見るイドラ。
そこでハッとした顔になり、イドラはその異能によりユートの魂を視た。
『…なんだと?そうか、そうだったのか。貴様があの…。ふふふ、ははははっ!良かろう、そういう運命にあったのか。完敗だ、ユートとやら。我を従えるに相応しいと認めざる得ない。さぁ、お主のスキルを使うがいい!』
いくら倒したからといえ、あっさりと従うと言い出したイドラに俺は驚きと違和感を覚えたが、HPも充分に減っていたのもあってスキルを使う事に決めた。
このチャンスは逃すべきじゃない!
「〈
そう言って瀕死のイドラに手をかざした。
イドラが淡く緑色の光に包まれていく。
「…!よし!」
ステータスのパーティー欄にイドラの名前が浮かんできた。
そして、名前の横に従属のマークが付いた。
次の瞬間だった。
それまで人型だったイドラから煙のように霧状の立ち上がり龍を象っていく。
逆に人型だったものはどんどん薄くなっていった。
そこに現れたのは、紛れもないあの"幻龍"だった。
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