第118話 噂の真相
「なっ?!おい、ここに書かれてる場所、東の大陸じゃないのか?」
「ああ、そうだろうな。俺も遥か昔に受けようとした時に討伐対象のいる場所が、東大陸だったよ。
そこに書かれていのは以下の通りだ。
<ランクアップ条件>
場所:【幻夢の森】
依頼対象:SSランク 幻龍を1体テイムを成功する事。(テイム完了時点で達成)
条件:一人で達成すること。
報酬:金貨1000枚
期限:7日間
「ほう、よりによって幻龍か。またレアなモンスターが相手だな。大陸に到着する事すら難しいのに、7日で見つけてテイム成功か。もし、達成したら色んな意味で偉業だぞ?カッカッカッ!」
「たくっ、他人事だと思って楽しそうにしているなぁ。しかし、受けてしまったからにはやるしかないか…」
「お前、東の大陸は魔族領だぞ?しかも、真っ直ぐは向かえない。大体良く【幻夢の森】を知ってたな。行ったことあるのか?」
「ああ、あるさ。というより、全ての大陸を制覇したよ」
「な、本当か?そんな奴、勇者かそのパーティメンバーくらいだぞ?まさか…」
「違う違う。ユートという名前も俺の名前だし、勇者には会った事もないよ」
「そうか…そうだな。
どうやら、勇者メンバーの生き残りがいて、偽名でも使って生きてたのかと思ったらしい。
そう思うくらい、Sランクしかもランクアップ出来るほどの人間は、もう殆ど居ないということか。
「そういえば、うちの執事に聞いたんだが、ここ最近に高ランク冒険者が結構登録されたって聞いたんだが?」
「!そいつは…、何処でそれを聞いた?」
「町の噂話らしいが」
「ちっ、かん口令布いてたのに、筒抜けだったか。大方王都に来ていた商人あたりだな、全くあいつら。…いいか、これはお前にだから言うんだぞ?」
言外に、もうギルドと縁は切れない仲だからと言いながら、教えてくれた。
どうやら、ゼフの言うとおりに突然現れた冒険者が本部ギルドに設置されたクラス判定する水晶で確認したところ、軒並み高ランクであったため魔族の使いじゃ無いかと疑われ一悶着あったらしい。
その為、王都には居着かずにすぐに旅立ったようだ。
(まぁ、それだけじゃないだろうけどな…)
「多分、中立地帯がある北の大陸か、比較的緩い南の大陸に行ってるだろうよ」
「ちなみに、SS《ダブルエス》はいたか?」
「そんな化け物いたら、野放しにするかよ。なんとしても懐柔して残らせるだろうよ。…余程の事がない限りな」
「それもそうか。SSランクは歩く最終兵器だもんな」
「変な言い方する奴だな…。だか実際にいたらそうなんだろうな」
ちなみに、カイト達のときもかなり話題になったらしいが、余りにも人が良いのと要領が良くなかったようで、すぐに疑いが晴れたらしい。
逆に実力を疑われる羽目になったみたいだけど。
きっとそれで居心地が悪くなって、サニアに来たんだろうな。
「じゃあ、Sランクは居たか?」
「…ああ、居たよ。何というか戦闘狂みたいな奴で、仲間も相当な奴らだった。大体、そいつの行動がヤバかったから問題になった様なもんだ。聖女様が居なかったら、俺も死ぬとこだったよ」
な、そいつらと戦うまで
相手もそうだが、大人げないな。
だけど、そのパーティだけは保護する必要はなさそうだな。
酒も普通に飲んでたらしいし、成人はしてるんだろう。
流石の俺も、そんなヤバい奴らと一緒に居たくないしな。
「わかった、情報有難う。そういう野良冒険者の若いやつで、路頭に迷いそうな奴がいたら俺の屋敷を訪ねるように言ってくれないか?」
「なんだ?慈善家には見えないが、目的があるのか?」
「ああ、同じ故郷から来た迷子の可能性があるんだ。成人しているのはほっとくけど、未成年の場合は保護してやりたい」
「ふーむ。そうだな。だが、戦力が偏るのはギルドとしても好ましくない。お前がSSになったら手配してやるよ」
どの冒険者もランクB以上であったため、1つのユニオンにそんな戦力が集まれば途轍も無い勢力となる。
ギルドとしては、手放しに許すわけにはいかないようだ。
なので、暗に儀式で王族と繋がりをもたせるとそう言っているのだ。
「…分かった。すぐに達成して帰ってくる。それまで、カイト達のこと頼んだな」
「おうよ。あの坊主達はしっかり見とく。だから、必ず生きて帰ってこいよ」
「ああ、戻ったら一杯やらうぜ!あ、マーズさんもな!」
調子に乗るなと小突かれたが、案外仲良くなれそうだ。
マーズさんも困ったように微笑んでいた。
「ニケ、一旦屋敷に帰るぞ。へカティアとディアナは街でカイト達を待っててくれ。多分明日には戻ってくるはずだ」
おれの言葉に三人共頷いた。
「分かりました、マスター」
「カイト達には、私達が伝えるね」
双子は、素直にそう言って俺とニケがギルドを出ていくのを見送った。
街の外に出てから飛んでいくのは時間が勿体なかったので、その場でニケを変身させて出発する事にした。
ドルガーにも許可を貰い、ついでにニケの姿を見せてやった。
「はははっ、こりゃあスゲーな。伝説の魔獣じゃねーか」
「ああ、そうだったな。【ファルコニアロード】っていうんだ。格好良いだろ?」
ニケは俺を乗せると大きな4枚の翼を広げ飛び立つのだった。
その後、見たこともない大きな魔獣が現れたと街中騒ぎになり、騒ぎを収めるのに苦労したらしいが…まぁ、俺の知るところではない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます