第112話 二人のランクアップ儀式
───男性陣はというと
アイテム補充と装備の修繕を依頼したあと、屋台で肉串を見つけてそれを食べながら明日の儀式について話をしていた。
「結局、終わるのは明日の午後だろ?だとしたら、明日出発は辛くないか?到着夜だぜ?」
ダンは、儀式よりも冒険の方が心配らしい。
正直にいうと、カイトも同じ気持ちだった。
強行して全員疲れた状態では、戦闘の精度が落ちるだろう。
あそこは、一度は攻略に失敗している所だ。
ユートがいなければ、仲間達には二度と会えなくなっていただろう。
明日の儀式も通過点でしかなく、最後のSSにまで上り詰める気持ちはある。
だが、それ以前に
だからこそ、ユートは常に無理をするなと言ってるんだろう。
そう思いながら、明日の計画を立てるのであった。
その日の夜は、前夜祭だ!と言い出したダンに呼応してみんなで美味しい物を沢山食べた。
風呂が無いのだけが残念だ。
一度知ってしまうと、元日本人としてはあの風呂がある生活が恋しくなる。
儀式もあるので、全員身体を拭いて綺麗にしてから寝るのだった。
心の何処かで、早く終わらせて
翌朝、全員揃って朝食を食べている所にギルド職員がやって来た。
「カイト様に、ダン様ですね」
「はい」
「ああ」
ギルド職員が来たことでやっとかと思いつつも返事をする二人。
相手が間違いないと確認をしたので続けて目的を告げた。
「儀式の準備できましたのでギルドへお越しください」
「分かりました。すぐに行きます」
カイトが代表して返事をした。
残ってた朝食を食べて、出かける準備をして全員でギルドへ向かった。
ギルドに着くと、ドルガーが待ち構えてた。
「やっと来たか。さて、聖女様がお待ちだ。すぐ行くぞ」
カイト達は、ドルガーと秘書のマーズ、他数名の職員に案内されて隣接された教会へ向かった。
中に入ると大勢の貴族らしき人物たちとが既にいて、見定めるかのようにカイト達を見ている。
カイト達は品定めをされているようで、少し気持ち悪さを感じのだった。
奥には立派な祭壇があり、その前に
「カイト、ダン、祭壇へお上がりなさい」
カイトとダンが祭壇の前に来ると、その女性は二人を祭壇に上がらせた。
二人が上がると、その女性が見に来ている貴族や王族たちに向けて宣言した。
「今日、勇者達以来数年振りとなるSランクへ昇格する者が生まれる。神の恩恵を受けるこの者たちにより、王国にはさらなる安寧と繁栄が約束されるだろう!皆の者、この者たちと王国を讃えよ!」
そう言った瞬間に教会が震えるほどの音量で、歓声とともに王国万歳!!と何度も唱和された。
暫くして、女性が片手を上げて皆を鎮まらせる。
そして再び告げるのだった。
「ではこれより、聖女たる私、アリアネル・ハイセリアが宣託の儀式を行う!」
そこからは、荘厳な雰囲気のまま儀式が行われた。
いつもどおり、特殊な魔法陣の中に入ると天から光が降り注ぎ、身体を包んでいく。
暖かな光に包まれると体の奥から力が湧いて来るのが感じられた。
しかし、そこからがいつものランクアップ儀式と違った。
頭の中に、声が響き渡ったのだ。
『類まれなる力を持った人の子よ、汝にさらなる高みへ導くため、新たな力を授けましょう』
血が全身を駆け巡り細胞が生まれ変わるかのように活性化する。
そして全身が焼けるように熱くなる。
「うおおおおおがああああああっ!!」
堪らず雄叫びを上げるカイト。
そして、ダンも同じく雄叫びを上げていた。
アリアネルは、身体の滾りが収まり正気に戻った二人に向かって、手を平を下向きにして二人を指し示した。
「どうやら、成功したようですね。あなた達は人の壁を一つ越えました。おめでとう、カイトそしてダン。…さあっ!宣託は降りた!これよりこの者たちはSランク冒険者である!」
その言葉を皮切りに、再び教会内は歓声に包まれるのだった。
その後、聖女アリアネルよりSランクの冒険者プレートを授与されて儀式は終了になった。
自分達が外に出るまで拍手が鳴り止まず、少し照れくさく感じるカイト達だった。
だが帰り際に、様々な貴族から専属の冒険者にならないかと声を掛けられ、断るのが大変ですぐに気分が冷めた。
ユニオンに所属しているのでと断ったが、かなりしつこく食い下がられてしまう。
まだ他のメンバーのクエストが残っていると言ってやっと抜けてこられたが、全員が終わったときの事を考えて憂鬱な気分になるのだった。
聖女アリアネルから王城でパーティーをやるから来なさいと言われたが、同じくクエスト終わるまでは無理だと答えると、では全員が終わったら開催するから絶対参加よ?と念を押して言われた。
ちなみに話を聞くと、聖女アリアネルはファミリーネームが指すとおり王族の王女であるらしい。
なので断ったら極刑にされるからな、とドルガーに真顔で脅された。
今は兎に角この王都から出たいと思い、ランクアップの余韻すら感じられない程に急いで支度をして出立するカイト達だった。
「おや、やっと来たか。随分とくたびれているな」
「あぁ。こんなに面倒くさいとは思いもしなかったよ。悪いがすぐに目的地に向かおう」
カルマが、疲れ切ったカイト達を見て可笑しそうにしていたが、早く目的わ果たしたいのは一緒だったので、快諾した。
「ああ、良いだろう。すぐ出立しよう。さぁ、主のランクアップまでには間に合わせるぞ」
そう言って、街の外へ向かった。
外に出てから、カルマは昨日と同じくナイトメアロードの姿になり、アイナとミラを乗せる。
ダンとザインは召喚ナイトメアに乗り、カイトもグランに乗り込んだ。
こらから向かっても、夜に着くが、あっちでキャンプすれば良いかと考えて次の目的地【
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