第98話 竜族調教《ドラゴンテイム》
カルマに滅多打ちにされて、最早立ってるのもやっとな2匹を〈生物鑑定〉してみると、HPが120くらいしか残っていなかった。
まだ継続してダメージが入っているので早くした方が良さそうだ。
「スキル発動…俺に従え、〈調伏の波動〉!」
身動きが取れない今がチャンスだ。
先ずは、銀のへカティアからテイムを始めた。
その時、いつもは感じない不思議な感覚があった。
魂を感じると言えば良いのだろうか?
凄く奥の方が光輝いて見える、そんな感覚だ。
無意識に俺はそれを掴むように手を伸ばした。
すると…
パァァァァッと、へカティアが光り輝き出した。
まだ、スキルを使っていないディアナにも同じ感覚があったので、合わせてディアナにもスキルを使った。
今度は、ディアナも光り輝きだした。
「なんだ?!…この感覚は一体…」
《汝を資格ある者と認め、竜王の加護を与える》
聞いたことない声が頭の中に響いた。
厳格でいて、どこか優しさを感じる声。
次の瞬間、俺は新しいスキルを獲得していた。
「これは…、スキル発動〈
手のひらが、ぱぁっと光る。
それを未だ光り輝いているへカティアとディアナにあてた。
その瞬間に、光が広がっていく。
──数秒後
視界が戻る。
但し、姿が少し前と違っているように見えた。
「…成功したか?」
直ぐに、ステータスを確認する。
二人のステータス欄に〔従属〕のマークが付いている。
これで、二人も俺の仲間ペット扱いだ。
テイムしたては絆が浅いので命令違反もありえるが、基本主人には攻撃出来なくなる。
…なるほど、カルマはそれを狙っていたのか。
「主よ。成功したようで何よりです。ただ、それだけでは無いのですよ。二人を見てください」
双子がキラキラと輝きながら人型になっていた。
前よりも見た目が少し成長しているみたいだ。
人間で言うと、15〜16歳くらいか?
「あぁ、…これは?そう…そうなのね。私達は、
「ええ、そうね!何百年ぶりになるでしょうか、へカティア!」
出会ったときの邪悪さが消えて、どこか神秘的で聖なる力を感じる。
「そうか、あなたが私達を開放してくれたんだね、有難うございます! これからは、あなたをマスターと呼ばせてね!」
「うん、そうみたいね。マスター私達を宜しくね。 改めて自己紹介させてもらうわ、私達は真なる竜である皇竜の娘、
「
竜姫へカティア ランクSS 種族:
竜姫ディアナ ランクSS 種族:
二人はかなりの強者だ。
今のカルマには勝てなくとも、そこらへんの敵には負けないだろう。
「ああ、よろしくな。…しかし、カルマこれは一体?」
あまりにも変わりすぎだ。
受けた衝撃が抜けきらず、まだ戸惑ってしまう。
なんせ魔王幹部だったのがいきなり聖女のように変わってしまったのだ。
驚くなという方が無理だろう。
「はい、二人は元々皇竜の娘だったのですが、二人がまだ幼かった時に今の魔王によって支配され、その時に属性を変化させられたのです。しかし、封印を解除するときに、私のスキル〈
真なる竜とは、野生のドラゴンやワイバーンと違って知性が高い高位の知的生物で、元々はこの大地を支配していた王族であったらしい。
それが、急に力を付けた今の魔王によって討伐されてしまい、その忘れ形見も奪われ、さっきまでのように姿形を変えられてしまったのだと言う。
ちなみに前よりも弱くなったのは、魔族として培った力はカルマに魔力と一緒に吸収されてしまったからだという。
それでも、SSランクのドラゴンロードと言うあたりが凄い。
「解放されて、自分たちの本当の使命を思い出しました。マスターと一緒に居ればわたし達の使命を果たせると思うので、よろしくお願いしますね!」
「うんうん、魔族の頃より普段のパワーは落ちちゃったけど、<竜化>はいつでも出来るようになったし、お役に立てると思うよ!よろしくねマスター!」
ディアナは淑女の雰囲気を纏い、ヘカティアは、前と一緒で少し調子のいい感じが残っているが、どちらかというと快活な少女へと変貌した感じだ。
前のように嫌な感じは全くしない。
どちらかと言うと親しみやすい雰囲気に変わったようだ。
しかし、使命とはなんだろうか…。
こっちに来てから、常に何かに巻き込まれているのは気のせいか?
「カルマとの契約は解除されたけど、マスターには忠誠と信頼の証として、私達の魂の結晶から作られた【竜玉】を上げます」
「これを持っているとね、仲間の竜族の力が上がるだけじゃなく、仲間じゃなくても言う事を聞いてくれるんだよ!凄いでしょ?」
…まじか?
マジで凄い物を貰ってしまった。
しかも、受け取った瞬間に暖かい光に包まれたかと思うと、二人との信頼関係が〔絆〕状態に変化した。
これで、基本的に命令違反自体が発生しないという事になる。
また、テイムスキルによるバフの効果が高くなるので、結構重要だったりもする。
昨日の敵は今日の友とは誰かが言っていたが、本当にあるんだなこういう事。
まぁ、だいたいカルマ先生のせいなんだけど…。
「じゃあ、これからよろしくな!二人には期待しているよ」
「「マスター、よろしくね!」」
二人は元気に返事をするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます