第83話 初キャンプ

 俺たちは、ギルドを出てから早速各自の乗り物に乗って移動を開始した。


 馬車の御者にドーラを乗せて、荷台にはライとその仲間たちとダンとザインを乗せた。

 ミラとサナティはニケに乗り、リンはピューイに、シュウはクロに乗った。

 カイトとアイナもいつも通り飛竜グランに乗って飛んでいる。

 そして俺はカルマに一人で乗っている。


 今回は、馬車がいるのでかなりゆっくりペースでの移動となる。

 休憩を考えると移動だけで1日かかる予定だ。

 そのため、2回ほどキャンプをする予定になっている。

 そこで食事等をしたりするのだ。

 

 ピューイはまだ人を乗せて飛ぶのに慣れていないので、結構疲れてしまう。

 道中で出てきた魔物とかの肉を食べさせてみるが、特に変化はないみたいだ。

 やっぱり、Sランクとかの肉じゃないとダメかなぁ。


 クロとシュウは結構息が合っていて、騎乗戦闘しかないのに結構ダメージが出ているようだ。

 剣捌きも前よりも段違いに良くなっている。

 みんなちゃんと訓練しているようだな。


 もちろん、俺もぼーっとしていたわけじゃない。

 ニケとカルマが良くやる例の攻撃を教わったりしていた。


 あれは、かなりやばい。

 コツを掴むのがとっても大変だったけど、一回覚えるとこれほど魔力効率のいい攻撃はないかもしれないと思うほど、低MP消費でかなりの威力の攻撃を出来る。

 開発したやつ、マジで天才だな。


 あ、悪魔と魔獣か。


 そして、ふたりが『闘気法』と呼んでる技を覚えたところ、何から派生しているのか分からないのに、派生スキル欄に『錬気術オーラ』が追加されていた。

 取り敢えず、そこからスキルあげも兼ねて使いまくっている。

 

 一つ目のキャンプする場所についた。

 サニアから旧王都までは大体250kmというところだ。

 馬車で走ると大体10~12時間というところだろう。

 いまは、だいたい100kmくらい移動したくらいだ。

 2時間おきくらいに馬を休ませて水を飲ませたりしないといけないので、思ってる以上に時間がかかる。


 今まで、ニケとカルマが高速移動するので感覚がおかしくなっていたと思うけど、もうちょっとどうにかしたいなぁ。


 そのうちペガサスでも捕まえて、空飛ぶ馬車とか試してみるのもいいかな?

 いや、落ちるか…、でも前後左右で引かせれば…酔うな。

 などと、危ないことを考えてしまうくらい進行速度が遅いと感じた。


「我等が引けば早くはなりましょうが、荷台が壊れるでしょうな」


 とは、カルマの言葉だ。

 団体で行く以上は仕方ないと思うしかないか…今はね。


 移動の改善策は今後の課題として、もうすぐ夕方になる。

 俺らだけなら大丈夫だけど、長時間の移動は思ったよりも疲れるものだ。

 今日はここで一泊する予定だ。


 見張りはペット達の他、ドーラ・俺・カイト・ダンのローテーションで実施する事にした。


 理由は簡単で、強い奴じゃないと任せれないというだけだ。

 最初の見張りは俺がやった。


 その間にドーラには夕食を作ってもらう。

 準備には女性陣も手伝い、キャンプ設営は男性陣でさくさくとやってた。


 みんな慣れてる様で、俺は遠くから見てただけで終わった。

 まぁ見張りだしね。

 

 夕飯ができた頃、ニケと交代して皆で飯にした。

 今日は、持ってきた肉と小麦でのシチューみたいなものに、パンだな。

 外で皆で食べるご飯ってのはやっぱ旨いもんだ。


 食べ終わってから、ライとカイトを交えて進行ルートを再確認する。

 馬がやられると歩きになってしまうので、なるべく安全なルートを選ぶ。


「この世界の移動で、馬車より早いのは無いのか?」


「うーん、大人数ですと大体は馬車になりますね。王家では馬よりも早い神馬と言われる六本脚の魔獣を使ってるようですが、専用の荷台が無いと耐えれないですね」


 さすが王族。

 レアモンスターに引かせてるのか。

 いつか、取りに行くかなぁ。

 問題は人を乗せる方だな。


「やっぱ、そこなんだよな。バスみたいなの造って引かせるか?」


「いや、タイヤとかどうするんですか?」


「あの、タイヤってなんですか??」


 俺とカイトが日本の知識で話をしていると、ライがなんですそれと聞いてきた。


「あー、ライは分からないか。ゴムという弾力性のある樹脂で作った車輪だよ。衝撃を吸収するから高速移動に適してるんだ」


「でも、こんなにデコボコした道ばかりだと、高速で走るのは厳しいのでは?」


「かなー?いい方法あるといいんだが」


「なるほど、お二人がいた世界には色んな物があるんですね」


 ライは、興味津々に聞いていた。


 そこで、ガントが話に入ってきた。


「ゲンブをもう一匹捕まえてきて、その中に人入れるとか駄目か?」


 なる程、カーゴタートルなら十人くらいなら入る事が出来るな。

 中の人がどうなるかは置いといても、一考の余地はありそうだ。


 今回の遠征が終わったら、捕まえに行くかな。

 あとは、ペガサスかな。


 流石にファルコニアを複数とかは、ニケが嫌がりそうだし、言うことを聞かせるのに時間が掛かる。

 そもそも、この大陸にはいないからな。


「どっちにしろ、捕まえるには遠出しないといけないから、今すぐは無理だな」


「まぁ、そりゃそうか」


 ちなみに、ゲンブは今回も連れてきている。

 今回のお留守番はシロだけだ。

 マイニャに訓練してもらう為に残らせたのだが、しっぽがシュンってなってて可哀そうなんだけど、その様子は可愛いかった。


 ゆっくり進んでいるので、ゲンブはニケとカルマが交代で引っ張っている。

 相変わらず、浮いてはいるので加重はそれほどじゃないらしいが。


 LBOで捕まえれる最高のペットは、SSランクのドラゴンロードと言われている。

 その大きさは、片翼に人間が十人くらいは乗れるので生きた飛行船となると噂されていた。

 まだ実践した人が居なかったので本当に載せれるか不明だが、そんな大型生物に乗せるのもありかもしれないな。


 それだけ大型だと、どれだけの食費になるのか…ちょっと怖いな。

 郊外とは言え、町にドラゴンがいるってどうなんだろう?

 ゲームとは違うからなぁ、普段はクリスタルの中に入れる感じかな。


 一通りルートを確認し終えたので、それぞれキャンプで休んでもらった。

 居るとは思わないが、余計な事をしないように男女は別々のテントだ。


 万が一、変なことをしようとしたら、カルマに喰わせるからなと脅しも忘れない。

 その場で、大きな石を噛み砕かせて見せて、ライのところの奴は顔が引き攣っていたな。


 おかげで夜は静かになった。

 誰でも頭は砕かれたくないのである。

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