第81話 訓練と成長

 朝起きると、リンは先に起きていたようだ。


「あ、起きた。おはようパパ!」


「よう、おはよう。ちゃんと寝れたか?」


「うん、パパとくっついていると気持ちよく寝れるからぐっすり寝れたよ!」


「そうか、それなら良かったよ」


 頭をわしわしと撫でてから、起きようと声を掛けて二人で起きた。

 洗面所で顔を洗ってから、歯を磨き、朝食を取るために食堂へ来たら、既に数人が起きてきていた。


「あ、おはようございまーす」


 と先にいたミラが先に挨拶してきた。

 一緒にいた、アイナも柔らかな笑顔で挨拶してきた。


「おお、おはよう。ミラ、アイナ。二人とも早いな」


「ミラさん、アイナさんおはよう~!」


「あら、リンちゃんも一緒なんですね。おはようリンちゃん」


 一緒にいた、リンに気が付いて、リンにも挨拶する。

 そこで、ミラがまさかっ!という顔して


「昨晩は、ユートさんと一緒に寝てたとかですか!?」


 と言ってきた。

 リンは、それに対して特に普通にうんそうだよ!ぐっすり寝れた!と返していた。


「ず、ずるいです!…じゃなかった、リンちゃんも女の子なんだから、男性の部屋に忍び込んじゃダメですよ!」


「?良くわからないけど、パパの部屋だから大丈夫だよ!」


 ミラがなぜそこまで拘るのかわからないけど、俺に幼女趣味はないから変な心配はしないで欲しい。


 そのあとは、さっきの会話がなかったかのように、姉妹のように話をしながらリンとミラは食事を一緒にしていた。


 食事がすんだあと、メイアが丁度来たので挨拶する。


「おはよーさん」


「おはようございます旦那様」


 そう言ったあと、食後のコーヒーを用意して淹れてくれた。


 この世界のどこにコーヒーなんてあるんだろうと思うが、実際に売られているので栽培されているんだろうな。


 今度現地を見てみたいな。

 そんな益体も無いことを考えながら、今日の予定をメイアに伝えた。


「畏まりました。ではゼフにあとで伝えておきます。留守の間は私たちにお任せください」


「ああ、頼んだよ。みんなを頼りにしてるよ」


 そのあと、みんなが起きてきた。

 シュウに食事が終わったら、すぐ出る準備するように伝えて、厩舎へ向かった。


「あ、ユートさーんおはようございます!」


「おお、早いなマイニャ。いつもありがとうな」


「いえいえ!お仕事ですから当然です!逆に良くしてもらい過ぎて申し訳ないぐらいです」


「大げさだなぁ。そうだ足りないものとかはないか?買えないものでも、取りに行ったりも出来るから遠慮なく言ってくれな。それがペット達の為にもなるから」


「はーい、わかりました!でも、今のところは必要なものは無いです。肉食な子達が多いので、魔物の肉とかがもうちょっとあれば、成長に役立つかもしれないですが」


「そういや、最近ピューイに白羊の肉を与えたら、少し大きくなってきたと言ってたな。成長に影響を当たるのならもっとガンガン取ってくるか…」


「あはは、ユートさんなら出来るからお願いしちゃいますね。ピューイだけじゃなく、シロもまだまだ成長しますから!」


 今、さらっと凄いこと言ったな。

 シロって成長限界だったはずなんだが。

 まさか、こっちに来て更に成長限界が上がったのか?


 これは、もう少し実験する必要があるな。

 シロが成長すれば、シュウにとっていい相棒になるなとか考えたらテイマー魂がふつふつと湧いてきた。


「あ、あのーユートさん?」


 おっと、悪い癖が出ていた。


「ごめんごめん、ちょっと考え事してたわ。肉の件は任せておけ持ってこれるだけは持ってくるよ」


「あ、はい!期待していますね?」

 

 ついでに、ピューイとシロの様子を見るのに中に入った。

 俺を見つけると2匹ともすぐ駆け寄ってきた。

 ピューイの体が大きくなっている。

 前までならシロの体の半分くらいだったのが、今では同じかそれ以上だ。


 てか、俺前にあったの1週間くらい前だよね?

 そんなに成長するもんか?


「あ、びっくりしました?ユートさんがくれたミノタウロスの肉を与えてみたんです。そしたら凄い速度で成長してご覧の通りに…」


「おお、マジか。確かに今まで普通の餌しか与えて来なかったけども…、ああ、それでさっきの依頼というわけか」


「ですです!きっとテイマーのユートさんなら分ってくれると思いました!わくわくしますよね、私も実はテイマー志望なんで、成長するのを見るとわくわくするんです!」


 いつになく饒舌にそういうマイニャの目は輝いていた。


 そうか、テイマー志望なら訓練とか任せれそうだな。

 ん、という事はスキル継承しておけば、簡単な調教も可能か…?


「テイマー志望というが、スキルはあるのか?」


「いえ…それがまだなんです。残念ながら資質は調教師テイマーではなく、訓練師トレイナーだったもので」


「それはそれで、凄いじゃないか。って訓練師トイレナーか、うってつけだな。よし、今度俺からスキル継承するよ。だから、俺のペット達の世話と一緒に訓練もしてくれないか?」


「え、いいんですか?スキル継承は魔力を大量に消費するから、普通は大金をお支払いしないとやってくれないとおとーさんが言ってましたが」


「何言っているんだ。自分の所の従業員に金取らないぞ?スキルは今どのくらいだ?」


「おかげさまで最大の60までは上がっています!」


「なんでランクアップしないんだ?」


「え?それは冒険者ギルドに登録しないと、ランクアップ出来ないんですよ?登録するのにも普通はお金かかりますし…」


 な、そんな制限があるのか。

 なるほど、一般人はどれだけ頑張ってもスキルの最大が60で止まってしまうのか。


「そういうことか。じゃあ、登録しよう。俺のペット達をもっと強くするのに協力して欲しいんだ。費用は全部出すからさ」


「え!?いいんですか?ぜひお願いしたいです!」


「よし、それならこれからクエストを受けにギルド行く予定だから一緒に行くぞ」


「あ、でもお仕事が…」


「そういう時のために、飼育クリスタルがあるんだろう?大丈夫、いない間はメイア達メイドに見ててもらうから。餌とか清掃とかなら彼女たちでも可能だ」


 さすがに自分の仕事を他の人に頼むのは気が引けるようだな。

 でも、そこに仕事に対しての誠実さが見えてくる。

 少し悩んだが、もっと上を目指したいという思いが勝ったようだ。


「では、そうさせてもらいます。メイアさんにお話ししてきます」


「その必要はありませんよ」


 タイミング良くメイアが現れた。


「丁度、皆様の準備が整ったとのお知らせに来たところです。話は聞こえてました。旦那様のお役に立てそうで良かったわねマイニャ。そういう事なら喜んで協力するわよ」


「メイアさん!ありがとうございます!」


 そう言うとマイニャは、早速出掛ける準備をと整えてきますと従業員室に戻っていった。

 メイアはそんなマイニャを見て、いい子ですねと微笑んでいた。



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