俺は悪役に徹する

 ひとみが提案してきたのは、あの時の再現であったのには、さすがの俺も一瞬だけ絶句してしまった。


 けど、それがひとみの今の一番の願いであるならば俺は応えない訳にはいかないし、言われるまで気づかなかったが、大事な制服も汚されていたのだと。


 俺自身は、完全に頭の血が引いたわけではなかったようだが、明日のこともあるので時間は有効に使うことにした。


「っていうかどうすればいい?」


そう、俺は何をどうしたらいいのか全く分からない状況にあった。


素直に言うと返ってきた答えは………


「あなたの欲望を私にぶつけて欲しいだけだよ♪それで制服はあなたに汚されるわけだからちゃんと上書きされるし、壊されるでしょ♪」


要するに俺のありったけの欲望を吐き出せってことか………いいのか?


「少し乱暴してしまうかもしれないが大丈夫か?いや、少しだけ荒くなるけど我慢してくれ」

「はい、あなたにされるなら私はなんだって受け入れます」


うーん、それはすんなりと受け入れられるは嬉しいような………なんというか複雑な感じがする。


 お互いに惹かれ合うように俺らの距離はゼロになると2人の唇が触れ合い、舌を絡め合うようなキスが終わると俺はひとみを反転させて押入れに押し付ける形にした。


 あの時の再現をするならばこの形がいいと思ったので咄嗟の行動だった。


「準備はいいか?容赦しないから本当にヤバイ時は座り込んで欲しい」

「うん、私が先に壊れたらごめんね」

「最低でも1回は壊されるんだから覚悟しておいてな」


 問題は、この先をどうしたらいいのか分からなかった……解ってはいけない………だって、これは恋人同士でも絶対しないだろう。


 それにそんな経験がある訳でもないし、あったらヤバいけど………本当になんていう提案を出してくるんだろうかね、奥様は。


 だとすれば、俺が出来ることは一つしかなくて、それがひとみの願いと思い行動を開始した。


「あ………や、やめてください」

「………足りないんじゃないのか?」

「うっ!」

「………」


 膝小僧の少し上から擦るように触り、徐々にその手を太腿からその先へと進めていくと『あんっ』と甘い声が聞こえたが、今はそれを無視するような形で、更に進めていくのと同時にもう片方の手がすくすく育っている双丘へと伸びた。


「あ、それは」

「気持ちいいんだろ?」

「はい………」

「好きだよ、ひとみ」

「うん、私も大好きだよ♡」


 ダメだ正直、ひとみに酷いことなんて出来る訳がなくて単なる疑似行為にしかならなかったが、ひとみが俺の方に振り向くといつもの笑顔がそこにはあった。


 そのまま、俺の抱きついてきて再度キスをした。


「んんっ♪ありがとう、無理なお願いをしちゃって」

「こればかりは実践とか無いからな。でも、これで大丈夫か?」

「ねぇ、この後も制服のままでして欲しいの。さっきも言ったけど汚されたいから」

「それならお安い御用だよ。ちゃんと愛でることが出来るんだから、その要望は喜んでお受けするよ。さぁ、おいで」

「はい、たくさんご褒美頂戴ね♪」


 先に布団に向かい、ひとみを迎えると俺は狂ったようにひとみの身体をこれでもかってくらいに堪能していた。


分かっている事だけど、制服姿のひとみの破壊力は抜群であり、あの事が無くても制服を着られたら大変な事になるのだからな。


 抱かれているひとみは、俺に突かれながらも妖艶に『もっと、深く』って誘ってくるからその誘いに乗らざる得ない状況でもあった。


「あんっ!ねぇ、あなたもっと欲しい」

「今日は、やけにおねだりが多いな」

「ダメ?もっと愛して欲しいんだもん」


 っ!ただでさえぶっ壊さないように理性をギリギリで押さえているのに、どうして理性を壊そうとするのかなこの子は。


 多分、明日のことは今だけ忘れているのだろうと。


 ひとみを笑顔にすることはお義母さんからもお願いされていることだから、今だけは2人のお願いを叶えることに専念するとしますかね。


「明日、何もできないくらいに愛してあげるから覚悟しろ」

「ああっ!ずっと、ずっとこうされていたいよ。もっと強くして!」

「なら、これならどう?」


『強く』とお願いされたので堪え切れずに俺は腰を深く落とすと『それダメ、声が我慢できなくなる、ああっ』と声を聞く度に腰を振る速度を早めた。


「もうダメ!頭の中が真っ白になる」

「俺でいっぱいになってるんじゃないの?」

「い、意地悪。あっ!心はあなたでいっぱいで頭の中は滅茶苦茶にされているんだから、もう解放させて。お願い!」

「ああ、もう俺も限界だからこれで終わりにしてあげるから」


 そう宣言すると、俺は今までないくらいに腰を振って愛する妻をぶっ壊しに掛かり、そして最後の一突きをした瞬間お互いに果てた。


 今まで一番燃えた日だったかもしれないくらいにお互いを求めあってしまい、俺らは布団の中でひとみが俺の胸の中で俺の鼓動を聞いていた。


「ごめん、ちょっとばかり無理した。大丈夫か?」

「私がお願いしたんだから気にしないで♪」

「制服、かなり汚したよう気がするけど大丈夫なのか?」

「月曜日は、夏用のがあるから大丈夫だよ。気にしてくれてありがとう♪」


 それは分かってるんだけどさ………冬も近いのに夏服で登校したら何があったかバレバレだと思うんだけどね………いいか。


 多分、ひとみもちゃんと考えがあるんだと思うのと俺の奥様は優秀だから。


 そんな思い、更けながら俺は。


「明日もあるから今日は、もう寝ようか」

「はい、おやすみなさい。あなた♪」

「ああ、おやすみ。ひとみ」


 俺は、ひとみが安心して寝てからも健やか顔を見ていたくてずっと寝顔を眺めていた。


「全く、あんな提案をしてくるなんて思ってもみなかったよ」


 俺は、ひとみを髪を撫でながらそんなことを呟いていたのは、ひとみの提案したことでいくらあんなことがあったとはいえ、それを再現して打ち消そうなんて思いもしない。


 でも、これで俺の卒業後もひとみに何かあっても強気な姿勢で言うことも出来るし、ひとみ自身もそれなりに対策を考えると思っている。


「明日は、楽しんでくれるといいな」


 明日は、妹の誕生日当日でその為に今日まで色々と準備をしてきたのは知っていて、あれまで当日作るって言うんだから恐れ入った。


 余程、義妹が出来たことに喜びを感じているんだって誰が見ても分かってしまう。


 だからこそ、今日は労うつもりだったのに予定外のことが起きてしまってこのような形になってしまったので、明日は俺も手伝うつもりである。


 そんなことを呑気に考えていたらいつの間にか俺も睡魔に襲われて眠ってしまっていたのだった。


 翌朝、先に目を覚ましたのは俺の方だった。


 当然だが、俺よりもひとみの方が無理をしてると思い、もう少し寝かせてあげることにして、俺は下に降りて洗面台で顔を洗ってすっきりして戻ろうとしたらリビングにお義母さんが朝ごはんの準備をしていた。


「お義母さん、おはようございます」

「一彦さん、おはようございます。ひとみはまだ寝てますか?」

「はい、相当疲れていたみたいでもう少しだけ寝かせておこうと思います」

「そうですか、一彦さんはご飯はどうしますか?」

「いただきたいです。けど一旦、ひとみの様子を見て来てもいいですか?」

「はい、お願いしますね」


 もしかしたら、起きていて俺がいないことで不安になってるかもしれないと思ったので部屋に戻ることして、ドアを開けたら丁度ひとみが目を覚ましたところだった。


「おはよう、よく寝れたみたいだね。顔色が良くなってる」

「おはよう、あなた♪そんなに顔色悪かったの私って」

「少しな、お義母さんが朝ごはんを用意してくれてるけど食べるかって」

「うん、一緒に食べたいな」

「なら、起きて下に降りようか」


 今のひとみの寝間着は制服でこのまま下に降りたら色々と大変なことになるので一旦寝間着に着替えてから下に降りて、お義母さん達と朝ご飯を一緒に食べた。


 朝ご飯を食べ終わり、食器を片付けているとお義母さんから今日の予定を聞かれた。


「今日の2人の予定は?」

「今から、買い出しに出かけてそのまま一彦の家に行くよ」

「泊まる?」

「うーん、一彦の家族の予定もあるだろうから聞いてから考えるけど分かったらすぐに連絡入れるね」

「泊まりたかったらちゃんと言いなさいよ」

「明日は、バイトもあるからその辺もちゃんと考えるから」


 自分の口から『泊りたい』って言わないのは昨日の時点で自分のわがままを言っているのと妹の誕生日でちゃんと祝って帰りたいと思っているのかもしれないな。


 この事に関しては、俺は完全に部外者のようなものなので口を出すようなことはしなかった。


 準備を終えた俺らは、家を出てそのまま近くのスーパーまで買い出しに出かけることにした。あれを作るための準備をするためである。


 それ以外は、どうやらひとみが母さんと連絡を取り合って決めているらしいので準備するものと言えばそれくらいしかないのだそうだ。


「なんかこうやって2人で買い物をしてると本当に夫婦で買い物してるみたいで嬉しい♪」


 ひとみがカートを引きながらそんなことを不意に言ってくるものだから俺の鼓動がドキドキもんだった。


「ああ、数年後には当たり前のようになるんだろうなきっと」


 俺は、不意打ちを食らったようには見えないように冷静を装って答えたが、実際は少しだけ動揺を隠せなかったと思う。


「そのさらに数年後には、あなたの手に私達の子供がいるんだろうね♪」

「ひとみは、最初に生まれて来るならどっちがいいの?」


 まだまだ、先の事なのに俺は先走ったこと聞いてしまったが、ひとみは臆することなく答えてきた。


「出来たら男の子がいいかな?無事に生まれてきてくれるならどっちでもいいけどね♪」

「てっきり、女の子だと思ってたよ。理由でもあるの?」

「それは、内緒です♪♪」

「そうゆうことは相変わらず誤魔化すのは苦手なんだな」

「ふぇ?」


 だってさ、顔がにやけてるから奥様が想像してることなんて嫌でも分かるっていうか俺らを知ってる連中でも気づくレベルなんだよね。


 そう思ってくれるのは、本当に嬉しいけどその分恥ずかしさも同時にやってくるんだからな………


 必要な物を全て買って満足したような顔をしてるひとみを見て、心の中で『来週は同じことが起きるんだよ』って呟いていた。


 来週、ひとみはどんな顔をするのか、誕生日のすばらしさをどれだけ再度理解してくれるか楽しみで仕方なかった。

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